事務所

場所と義務をセットで判定

1本章の学習ポイント

宅建業法上の「事務所」は、単に仕事をする場所という意味ではありません。どの場所が事務所に当たるかによって、免許区分、専任宅建士の人数、標識・帳簿・従業者名簿の設置義務、保証金の額などが変わります。まず場所の実態を確認し、その後に必要な義務を当てはめることが大切です。

学習の全体像

この章では、事務所の判定、本店・支店の扱い、免許区分、事務所の5点セット、専任宅建士、標識・報酬額表、帳簿、従業者名簿・従業者証明書、案内所等、保証金制度までを順に整理します。

試験対策

試験では、事務所と案内所等の入れ替えがよく狙われます。特に、事務所は「5人に1人以上」、契約締結等をする案内所等は「1人以上」、専任宅建士不足は「2週間以内」、変更届は「30日以内」、案内所等の届出は「10日前まで」という数字を、対象となる場所や手続とセットで覚えましょう。

2事務所の基本と判定

宅建業法上の事務所とは、宅建業を継続して行う拠点です。代表例は、本店、宅建業を営む支店、本店・支店以外でも継続的に業務を行える営業所等です。名称ではなく、実際にどのような業務を行っているかで判断します。

本店は、支店で宅建業を営んでいれば、本店自体では宅建業を行っていなくても事務所として扱われます。一方、支店は、宅建業を営んでいる支店だけが事務所です。他の事業だけを行う支店は、宅建業法上の事務所には含めません。

本店・支店以外の営業所等は、継続して業務を行える施設であり、宅建業に関する契約締結権限を持つ使用人を置いているかを確認します。一時的な現地案内所やモデルルームは、通常、事務所ではなく案内所等として扱います。

事務所に当たる場所
本店 主たる事務所 支店が宅建業なら本店も対象 支店 宅建業を営む支店 他事業のみなら対象外 営業所等 継続性と契約権限 政令使用人がいるか 案内所等 一時的な販売拠点 事務所とは別ルール 名称より実態で判定
【要点整理】
項目 確認ポイント
本店 支店で宅建業を営む場合は、本店で直接宅建業を行っていなくても事務所
支店 宅建業を営む支店だけが従たる事務所。他事業のみの支店は対象外
営業所等 継続的に業務を行える施設で、契約締結権限を持つ使用人を置く場所
案内所等 一時的な販売・案内拠点。事務所とは別のルールで判断
重要ポイント
【重要ポイント】「本店」「支店」という名称だけで決めず、宅建業の実態と継続性を確認します。

名称が「支店」であっても、そこで宅建業を営んでいなければ事務所には当たりません。逆に、本店自身が宅建業を行っていなくても、支店で宅建業を営む場合は本店も事務所です。名称より実態で判定しましょう。

3事務所と免許区分・申請書

宅建業者の免許区分は、事務所の所在地によって決まります。すべての事務所が1つの都道府県内にある場合は都道府県知事免許、2以上の都道府県にある場合は国土交通大臣免許です。

案内所等は、免許区分を判断する事務所数には含めません。県外にモデルルームや現地案内所を設けても、それだけで国土交通大臣免許になるわけではありません。

免許申請書には、事務所の名称・所在地、事務所ごとの専任宅建士、政令で定める使用人などを記載します。政令で定める使用人は、単なる従業員ではなく、宅建業に関する契約締結権限を持つ人です。これらの事項に変更があった場合は、原則として30日以内に変更の届出を行います。

事務所数と免許区分
同一県内 知事免許 事務所が1都道府県内 複数県 大臣免許 2以上の都道府県に事務所 案内所等 免許区分に入れない 県外でも事務所数に入れない 変更届 30日以内 事務所・専任宅建士等の変更 免許区分は事務所で決まる
【要点整理】
項目 確認ポイント
知事免許 事務所が1つの都道府県内だけにある場合
大臣免許 事務所が2以上の都道府県にある場合
案内所等 免許区分の判定対象外
変更届 事務所の名称・所在地、専任宅建士、政令使用人などの変更は原則30日以内
政令使用人 宅建業に関する契約締結権限を持つ使用人。単なる従業員とは分けて確認
注意ポイント
【注意ポイント】県外に案内所等を設けても、事務所でなければ免許区分は変わりません。

免許区分(知事免許か大臣免許か)は、事務所の所在地で判断します。県外にモデルルームや現地案内所を設けても、それは案内所等であり事務所ではないため、大臣免許になるわけではありません。

4事務所の5点セット

事務所には、宅建業を適正に行うための基本的な設備・記録が必要です。覚えるべき5点は、専任宅建士、標識、報酬額の掲示、帳簿、従業者名簿です。

ただし、この5点を案内所等にもそのまま当てはめるわけではありません。標識は案内所等や物件所在地にも必要となる場合がありますが、報酬額表、帳簿、従業者名簿は原則として事務所を中心とする義務です。専任宅建士の人数基準も、事務所と案内所等では異なります。

事務所の5点セット
専任宅建士 5人に1人以上 掲示 標識・報酬額表 必要場所を分ける 記録 帳簿 取引のつど記載 名簿 従業者名簿 閲覧義務あり 注意 案内所等と区別 5点セットを丸ごと使わない 事務所中心の義務を確認
【要点整理】
項目 確認ポイント
専任宅建士 宅建業に従事する者5人に1人以上
標識 事務所ごとに掲示。案内所等や物件所在地にも必要となる場合あり
報酬額の掲示 事務所ごとに掲示。案内所等には原則不要
帳簿 事務所ごとに備え、取引のつど記載
従業者名簿 事務所ごとに備え、請求があれば取引関係者に閲覧させる
注意ポイント
【注意ポイント】案内所等には、事務所の5点セットを丸ごと当てはめません。

標識は広い範囲で必要になりますが、報酬額表、帳簿、従業者名簿は原則として事務所を中心とする義務です。案内所等については、契約締結等の有無で義務を分けて判断しましょう。

5専任宅建士の設置義務

事務所には、成年者である専任宅建士を、宅建業に従事する者の5人に1人以上の割合で置かなければなりません。宅建業務に従事するパートやアルバイトなども、従事者数を計算するときに含めて確認します。

専任宅建士には、常勤性と専任性が必要です。その事務所に常勤し、専ら宅建業に従事していることが求められます。そのため、他の事務所や案内所等の専任宅建士を当然に兼ねられるわけではありません。

退職や従業者数の増加などにより法定数を下回った場合、宅建業者は2週間以内に補充などの必要な措置をとります。この2週間は、免許申請書の変更届に関する30日以内とは別の期限です。

専任宅建士の人数基準
事務所 5人に1人以上 宅建業従事者を基準に計算 案内所等 1人以上 契約締結等をする場所 不足時 2週間以内 補充等の措置 注意 30日届出と区別 不足解消は2週間 5人に1人・1人以上・2週間
【要点整理】
項目 確認ポイント
事務所 宅建業に従事する者5人に1人以上
従事者の範囲 宅建業務に従事するパート・アルバイト等も含めて確認
契約締結等をする案内所等 成年者である専任宅建士を1人以上
法定数に不足した場合 2週間以内に補充等の必要な措置
専任性・常勤性 その場所に常勤し、専ら宅建業に従事
兼務の注意 他の事務所や案内所等の専任宅建士を当然に兼ねられるわけではない
重要ポイント
【重要ポイント】事務所は「5人に1人以上」、契約締結等をする案内所等は「1人以上」です。

事務所は宅建業従事者5人に1人以上の割合で専任宅建士を置く必要があります。一方、契約締結等をする案内所等は人数比例ではなく、成年者である専任宅建士を1人以上置けばよいとされています。この違いを混同しないようにしましょう。

6標識・報酬額の掲示

標識は、宅建業者の商号・名称、免許証番号、代表者氏名などを取引関係者が確認できるように掲示するものです。事務所ごとに必要であり、案内所等や一団の宅地建物の分譲場所などにも必要となる場合があります。

報酬額の掲示は、宅建業者が受け取ることのできる報酬の上限を取引相手が確認できるようにするものです。原則として事務所ごとの義務であり、案内所等には原則として必要ありません。

どちらも掲示に関する義務ですが、必要となる場所が異なります。標識は広い範囲で必要となり、報酬額表は事務所が中心であることを区別してください。

標識と報酬額掲示
標識 事務所・案内所等 物件所在地にも必要な場面 報酬額表 原則事務所のみ 案内所等には原則不要 目的 取引相手の確認 業者情報と報酬上限 注意 同じ掲示でも違う 必要場所を分ける 標識は広く、報酬額表は事務所
【要点整理】
項目 確認ポイント
標識 事務所ごとに掲示。案内所等や物件所在地にも必要となる場合あり
標識の主な内容 商号・名称、免許証番号、代表者氏名、専任宅建士の数など
報酬額表 原則として事務所ごとに掲示
比較ポイント 標識は広く必要。報酬額表は事務所が中心
掲示場所 取引相手が確認しやすい場所に掲示
注意ポイント
【注意ポイント】標識は事務所だけの義務ではありませんが、報酬額表は原則として事務所の義務です。

標識は事務所・案内所等・物件所在地など広い範囲で必要になることがあります。一方、報酬額表は原則として事務所ごとの義務であり、案内所等への掲示は原則として不要です。

7帳簿

宅建業者は、事務所ごとに帳簿を備え、宅建業に関する取引があったつど、取引年月日、物件の所在・面積、契約相手方、報酬額などの一定事項を記載します。

帳簿は各事業年度末に閉鎖し、原則として閉鎖後5年間保存します。ただし、宅建業者が自ら売主となる新築住宅に関する帳簿は、閉鎖後10年間保存します。

帳簿には、取引関係者から請求された場合の閲覧義務はありません。従業者名簿には閲覧義務があるため、保存期間と閲覧義務を並べて整理しましょう。

帳簿の保存期間
備付け 事務所ごと 案内所等には原則不要 記載 取引のつど 取引年月日・物件等 保存 閉鎖後5年 原則の保存期間 特例 新築住宅10年 自ら売主の帳簿 閲覧 閲覧義務なし 従業者名簿と比較 5年・10年・閲覧なし
【要点整理】
項目 確認ポイント
備付け 事務所ごとに備える
記載時期 取引があったつど記載
記載事項 取引年月日、物件の所在・面積、契約相手方、報酬額など
保存期間 原則は閉鎖後5年間
新築住宅の特例 自ら売主となる新築住宅に関する帳簿は閉鎖後10年間
閲覧義務 取引関係者への閲覧義務なし
重要ポイント
【重要ポイント】帳簿は「5年・新築住宅10年・閲覧なし」です。

帳簿の保存期間は原則として閉鎖後5年、自ら売主となる新築住宅に関する帳簿は閉鎖後10年です。帳簿には取引関係者への閲覧義務がない点が、従業者名簿との大きな違いです。

8従業者名簿・従業者証明書

従業者名簿は、事務所ごとに備える名簿です。従業者の氏名、従業者証明書番号、主たる職務内容、宅建士であるかどうか、従業者となった年月日などを記載します。

従業者名簿は、最終の記載日から10年間保存します。また、取引関係者から請求があれば閲覧させなければなりません。

従業者証明書は、従業者であることを示すために携帯する証明書です。宅建業者は、この証明書を携帯していない者を宅建業の業務に従事させてはいけません。請求があれば提示します。宅建士証とは別の制度です。

帳簿・名簿・証明書の比較
帳簿 閉鎖後5年が原則 閲覧義務なし 名簿 最終記載から10年 請求があれば閲覧 証明書 従業者が携帯 請求があれば提示 注意 宅建士証とは別 名簿と証明書を区別 閲覧は従業者名簿
【要点整理】
項目 確認ポイント
従業者名簿 事務所ごとに備える。従業者の氏名、証明書番号、職務内容、宅建士か否かなどを記載
保存期間 最終の記載日から10年間
閲覧義務 取引関係者から請求があれば閲覧させる
従業者証明書 従業者が携帯し、請求があれば提示
宅建士証との違い 従業者証明書は従業者であることを示すもの。宅建士証とは別
携帯義務 従業者証明書を携帯していない者を宅建業の業務に従事させてはならない
注意ポイント
【注意ポイント】「閲覧」は従業者名簿、「提示」は従業者証明書です。

取引関係者から請求された場合に閲覧させるのは従業者名簿、請求があれば提示するのは従業者証明書です。帳簿には閲覧義務がありません。この3つの違いをセットで整理しておきましょう。

9案内所等の基本

案内所等は、事務所以外の場所で、物件の案内や分譲活動などを行う拠点です。モデルルーム、現地案内所、一団の宅地建物の分譲場所などが代表例です。

案内所等では、その場所で契約締結や申込みの受領をするかどうかによって、必要な義務が変わります。契約締結等をする場合は、専任宅建士1人以上、標識、届出が必要です。

契約締結等をしない案内所等では、標識は必要ですが、専任宅建士の設置と届出は不要です。単に案内や説明をするだけなのか、契約や申込みまで扱うのかを確認しましょう。

案内所等の判定
入口 案内所等か 事務所とは別ルール 契約あり 締結・申込み受領あり 専任宅建士・標識・届出 契約なし 案内・説明のみ 標識のみ 比較 事務所とは違う 帳簿・名簿は原則不要 契約締結等の有無で分ける
【要点整理】
項目 確認ポイント
契約締結・申込み受領をする 専任宅建士1人以上、標識、届出
案内・説明だけをする 標識。専任宅建士と届出は不要
免許区分・保証金 案内所等は原則として事務所数に含めない
帳簿・名簿・報酬額表 原則として事務所を中心とする義務
重要ポイント
【重要ポイント】案内所等は、「契約締結または申込み受領をするか」で義務を分けます。

契約締結等をする案内所等には、専任宅建士・標識・届出が必要です。契約締結等をしない案内所等には標識のみ必要で、専任宅建士と届出は不要です。「何をする場所か」で判断しましょう。

10契約締結等をする案内所等

契約締結等をする案内所等とは、宅地・建物の売買、交換、貸借について、契約を締結したり、申込みを受けたりする場所です。

このような案内所等には、成年者である専任宅建士を1人以上置きます。事務所のように従事者5人に1人以上と計算するのではありません。

さらに、標識を掲示し、業務開始日の10日前までに届出を行います。届出先は、免許権者と案内所等の所在地を管轄する都道府県知事です。

契約締結等をする案内所等
対象 契約締結・申込み受領 契約に進む場所 宅建士 1人以上 5人に1人ではない 標識 掲示が必要 案内所等の標識 届出 10日前まで 業務開始前に届出 1人以上・標識・10日前
【要点整理】
項目 確認ポイント
対象 契約締結または申込み受領を行う案内所等
専任宅建士 成年者である専任宅建士を1人以上
標識 案内所等に掲示
届出期限 業務開始日の10日前まで
届出先 免許権者と案内所等所在地を管轄する知事
不要なもの 帳簿・従業者名簿・報酬額掲示は原則として事務所中心
重要ポイント
【重要ポイント】契約締結等をする案内所等は、「1人以上・標識・10日前まで」です。

契約締結等をする案内所等に必要な3点セットは、成年者である専任宅建士1人以上・標識の掲示・業務開始日の10日前までの届出です。事務所の「5人に1人以上」と混同しないよう注意しましょう。

11契約締結等をしない案内所等・物件所在地

契約締結等をしない案内所等は、物件の案内や説明だけを行う場所です。この場合、案内所等を設けた宅建業者が、その案内所等に標識を掲示します。専任宅建士の設置と届出は不要です。

一団の宅地建物を分譲する物件所在地では、その場所で契約締結や申込み受領をしなくても、標識が必要となる場合があります。物件所在地の標識は、原則として分譲を行う売主業者が掲示します。

案内所の標識と物件所在地の標識は別のものです。代理・媒介業者が別の場所に案内所を設けた場合は、その案内所を設けた業者が案内所の標識を掲示します。報酬額表、帳簿、従業者名簿は、原則として事務所ごとの義務です。

契約締結等をしない場所
案内のみ 説明・案内だけ 契約や申込みを扱わない 必要 標識 案内所等や物件所在地 不要 専任宅建士・届出 契約締結等なし 注意 報酬額表等は事務所中心 帳簿・名簿も同じ 標識だけ広く必要
【要点整理】
項目 確認ポイント
契約締結等をしない案内所等 設置した宅建業者が案内所に標識を掲示。専任宅建士・届出は不要
一団の分譲場所 原則として売主業者が物件所在地に標識を掲示
代理・媒介業者の案内所 設置した代理・媒介業者が案内所に標識を掲示
事務所中心の義務 報酬額表、帳簿、従業者名簿
注意ポイント
【注意ポイント】標識は「どの場所に、誰が掲示するか」を分けて確認します。

物件所在地の標識は原則として売主業者、案内所の標識はその案内所を設けた業者が掲示します。標識の掲示義務者を混同しやすいので、場所ごとに誰が掲示するかをセットで整理しておきましょう。

12代理・媒介業者の案内所と共同案内所

代理・媒介業者が案内所等を設ける場合は、まず誰がその案内所を設けたかを確認します。案内所の標識は、原則として、その案内所を設けた宅建業者が掲示します。

その案内所で契約締結または申込み受領をする場合は、案内所を設け、そこで契約締結等をする宅建業者が届出を行います。届出は、免許権者と案内所所在地を管轄する都道府県知事に、業務開始日の10日前までに行います。

共同案内所では、売主、代理業者、媒介業者など複数の業者が同じ場所で業務を行います。この場合も、物件所在地の標識は売主業者、案内所の標識は案内所を設けた業者、届出は契約締結等をする案内所を設けた業者という順に整理します。

代理・媒介業者と共同案内所
売主 物件の売主業者 自ら販売する立場 代理・媒介 契約を代理・媒介 他人の取引に関与 案内所 誰が設置したか 標識・届出を確認 共同 複数業者が関与 役割を分ける 誰が設置し、何をするか
【要点整理】
項目 確認ポイント
売主業者の案内所 売主業者が標識を掲示。契約締結等をするなら売主業者が届出
代理・媒介業者の案内所 設置した代理・媒介業者が標識を掲示。契約締結等をするならその業者が届出
物件所在地 原則として売主業者が標識を掲示
共同案内所 業務を行う業者ごとに標識。契約締結等をする業者が届出
届出先・期限 免許権者と案内所等所在地の知事へ、業務開始10日前までに届出
重要ポイント
【重要ポイント】判断順序は「物件所在地は売主」「案内所は設置業者」「届出は契約締結等をする設置業者」です。

複数の業者が関与する場面では、この3つの順番で確認しましょう。物件所在地の標識は原則として売主業者、案内所の標識はその案内所を設けた業者、届出は契約締結等をする案内所を設けた業者が行います。

13事務所と保証金制度

事務所の数は、営業保証金や弁済業務保証金分担金の額に直接影響します。主たる事務所と従たる事務所では金額が異なるため、まずその場所が事務所に当たるかを正確に判定する必要があります。

営業保証金は、主たる事務所について1,000万円、従たる事務所1か所につき500万円です。保証協会に加入する場合の弁済業務保証金分担金は、主たる事務所60万円、従たる事務所1か所につき30万円です。

案内所等は、原則として保証金額を計算する事務所数には含めません。従たる事務所を新設した場合は、その事務所数に応じて追加の保証金または分担金を計算します。

事務所と保証金額
営業保証金 本店1,000万円 支店1か所500万円 保証協会 本店60万円 支店1か所30万円 判定 事務所数で計算 案内所等は入れない 注意 免許区分とも連動 事務所かを先に見る 事務所数が金額に直結
【要点整理】
項目 確認ポイント
営業保証金 主たる事務所1,000万円、従たる事務所1か所につき500万円
弁済業務保証金分担金 主たる事務所60万円、従たる事務所1か所につき30万円
案内所等 原則として保証金額の事務所数に入れない
判断順序 まず事務所に当たるかを確認し、その後に金額を計算
事務所新設 従たる事務所を増やすと、営業保証金や分担金も追加計算が必要
注意ポイント
【注意ポイント】保証金額を計算する前に、その場所が「事務所」か「案内所等」かを確認します。

営業保証金・弁済業務保証金分担金は、事務所の数に基づいて計算します。案内所等は原則として事務所数に含めません。県外の案内所やモデルルームを事務所数に入れて金額を多く見積もるひっかけに注意しましょう。

14横断比較

事務所と案内所等の違いは、必要となる義務を横に並べると整理しやすくなります。事務所では、専任宅建士、標識、報酬額表、帳簿、従業者名簿が中心です。

契約締結等をする案内所等では、専任宅建士1人以上、標識、10日前までの届出が必要です。契約締結等をしない案内所等では標識が必要ですが、専任宅建士と届出は不要です。物件所在地にも標識が必要となる場合があります。

事務所・案内所等の横断比較
事務所 5点セット 帳簿・名簿・報酬額表あり 契約案内所 1人以上・標識・届出 10日前まで 非契約案内所 標識 宅建士・届出なし 物件所在地 標識 報酬額表等は不要 必要なものを横並びで確認
【要点整理】
項目 確認ポイント
事務所 専任宅建士、標識、報酬額表、帳簿、従業者名簿
契約締結等をする案内所等 専任宅建士1人以上、標識、10日前までの届出
契約締結等をしない案内所等 標識。専任宅建士と届出は不要
物件所在地 標識が必要となる場面あり
比較軸 免許区分と保証金は「事務所数」、案内所等の義務は「契約締結等の有無」で判断
重要ポイント
【重要ポイント】免許区分と保証金は「事務所数」、案内所等の義務は「契約締結等の有無」で判断します。

免許区分(知事か大臣か)と保証金額は事務所の数で決まります。一方、案内所等でどのような義務が生じるかは、その案内所等で契約締結や申込み受領をするかどうかで決まります。この2つの判断基準を混同しないようにしましょう。

15ひっかけ対策

この単元では、事務所と案内所等の義務を入れ替えた選択肢が多く出されます。県外の案内所等を大臣免許の判定に含めたり、案内所等に帳簿・従業者名簿・報酬額表が必要だとしたりする問題には注意してください。

数字は、何の期限・人数・保存期間なのかをセットで確認します。事務所の専任宅建士は5人に1人以上、契約締結等をする案内所等は1人以上、不足時の措置は2週間以内、変更届は30日以内、案内所等の届出は10日前までです。

帳簿は原則として閉鎖後5年間、自ら売主の新築住宅に関する帳簿は10年間保存し、閲覧義務はありません。従業者名簿は最終記載日から10年間保存し、請求があれば閲覧させます。

ひっかけ対策
免許区分 案内所等を入れない 事務所の所在地で判定 専任宅建士 5人に1人・1人以上 場所で基準が違う 期限 2週間・30日・10日前 どの手続かを見る 帳簿名簿 5年・10年・閲覧 比較で押さえる 標識 広く必要 報酬額表と混同しない 数字と場所をセットで確認
【要点整理】
項目 確認ポイント
案内所等 免許区分や保証金額の事務所数に入れない
専任宅建士 事務所は5人に1人以上、契約締結等をする案内所等は1人以上
期限 専任宅建士不足は2週間以内、変更届は30日以内、案内所等の届出は10日前まで
帳簿 原則閉鎖後5年、自ら売主の新築住宅は10年、閲覧義務なし
従業者名簿 最終記載日から10年保存、請求があれば閲覧
標識と報酬額表 標識は広く必要、報酬額表は事務所中心
届出先 契約締結等をする案内所等は、10日前までの届出時期と届出先をセットで確認
注意ポイント
【注意ポイント】数字だけを暗記せず、「場所」「手続」「保存対象」と一緒に覚えます。

5人に1人以上・1人以上・2週間・30日・10日前・5年・10年——これらの数字は、どの場所・手続・対象のものかをセットで整理しましょう。標識に必要な場所と、報酬額表・帳簿・従業者名簿が必要な場所を混同しないよう注意してください。

最後に押さえるポイント

  • 事務所は、本店、宅建業を営む支店、継続して業務を行える営業所等です。
  • 支店で宅建業を営んでいれば、本店自体で宅建業をしていなくても本店は事務所として扱われます。
  • 宅建業を営まない支店は、宅建業法上の事務所には含めません。
  • 免許区分は事務所の所在地で決まり、案内所等は判定に含めません。
  • 事務所の5点セットは、専任宅建士、標識、報酬額表、帳簿、従業者名簿です。
  • 事務所の専任宅建士は、宅建業に従事する者5人に1人以上です。
  • 契約締結等をする案内所等には、成年者である専任宅建士を1人以上置きます。
  • 専任宅建士が法定数に不足した場合は、2週間以内に補充等の措置をとります。
  • 事務所・専任宅建士・政令使用人などの変更届は、原則として30日以内です。
  • 契約締結等をする案内所等の届出は、業務開始日の10日前までです。
  • 標識は事務所だけでなく、案内所等や物件所在地にも必要となる場合があります。
  • 報酬額表、帳簿、従業者名簿は、原則として事務所を中心とする義務です。
  • 帳簿は原則として閉鎖後5年間、自ら売主の新築住宅に関する帳簿は閉鎖後10年間保存します。
  • 帳簿には閲覧義務がありませんが、従業者名簿には閲覧義務があります。
  • 従業者名簿は最終記載日から10年間保存し、従業者証明書は従業者が携帯します。
  • 営業保証金は主たる事務所1,000万円、従たる事務所1か所につき500万円です。
  • 弁済業務保証金分担金は主たる事務所60万円、従たる事務所1か所につき30万円です。
  • 案内所の標識は設置した業者、物件所在地の標識は原則として売主業者が掲示します。