建築基準法(集団規定)

用途・面積・高さ・道路・防火で整理

1本章の学習ポイント

建築基準法の集団規定は、建物と街全体との関係を調整するルールです。用途、面積、高さ、道路、防火などを定めることで、建物が周辺環境と調和し、安全な市街地がつくられるようにします。

学習の全体像

この章では、用途規制、建ぺい率、容積率、高さ制限、道路規制、防火地域・準防火地域、外壁後退、壁面線、建築協定を順に確認します。制度ごとに「何を制限するのか」と「どの数字を使うのか」を分けて整理しましょう。

試験対策

試験では、用途地域のまたがりは過半、建ぺい率・容積率のまたがりは面積割合、防火地域等のまたがりは厳しい方という違いが狙われます。また、前面道路12m未満、幅員4m、接道2m、2項道路の2m後退など、似た数字を制度名とセットで覚えることが重要です。

2用途規制

用途規制は、用途地域ごとに建築できる建物と、建築できない建物を分けるルールです。まず、住居系・商業系・工業系の大きな方向性を押さえます。

住居系の用途地域では、良好な住環境を守ることが重視されます。商業系は店舗や事務所などを集める地域で、工業系は工場や倉庫などを想定した地域です。なかでも工業専用地域では、住宅・学校・病院などを建てることができません。

敷地が2以上の用途地域にまたがる場合、用途制限は、敷地の過半が属する用途地域の規制によります。建ぺい率や容積率のように、各部分の面積割合で計算するわけではありません。

用途規制の基本
住居系 住環境を守る 大規模店舗等を制限 商業系 店舗・事務所を集める 多様な用途を許容 工業系 工場・倉庫を想定 工業専用に注意 またがり 過半が属する地域 用途制限は過半主義 注意 加重平均しない 面積規制と区別 用途制限は過半で判断
【要点整理】
項目 確認ポイント
用途規制 用途地域ごとに、建築できる建築物の用途を制限
住居系 住環境の保護を重視。大規模店舗や工場などは制限されやすい
商業系 店舗・事務所など、多様な用途を認めやすい
工業系 工場・倉庫などを想定。工業専用地域では住宅・学校・病院などは不可
用途地域のまたがり 敷地の過半が属する用途地域の規制による
用途地域の指定なし 用途地域による用途制限はない。ただし、特定用途制限地域・地区計画・条例等は別に確認
注意ポイント
【注意ポイント】用途規制は「過半」で判断

敷地が複数の用途地域にまたがる場合でも、用途規制は加重平均しません。過半が属する地域を一つ選んで判断します。

3建ぺい率

建ぺい率は、敷地面積に対する建築面積の割合です。建物を真上から見た面積が、敷地のどのくらいを占めるかを示します。延べ面積を使う容積率と混同しないようにしましょう。

特定行政庁が指定する角地等では、建ぺい率が10分の1加算されることがあります。また、防火地域内の一定の耐火建築物等や、準防火地域内の一定の耐火・準耐火建築物等にも、10分の1の緩和があります。両方の条件を満たすと、合計で10分の2加算される場合があります。

敷地が建ぺい率の異なる地域にまたがる場合は、各部分の面積割合に応じて計算します。用途制限のように過半で一つに決めるのではありません。

建ぺい率の確認事項
基本 建築面積÷敷地面積 延べ面積ではない 角地等 10分の1加算 特定行政庁の指定 防火・準防火 耐火・準耐火等 10分の1加算 両方 合計10分の2加算 条件重複で確認 またがり 面積割合で計算 加重平均 建築面積と加算を確認
【要点整理】
項目 確認ポイント
計算式 建築面積 ÷ 敷地面積。延べ面積ではない
角地等の緩和 特定行政庁が指定する角地等では10分の1加算
防火・準防火の緩和 一定の耐火建築物等・準耐火建築物等では10分の1加算
緩和の重複 角地等と防火・準防火側の緩和が重なると、合計10分の2加算の場合あり
制限適用なし 建ぺい率80%の地域で、一定の耐火建築物等が防火地域内にある場合など
地域のまたがり 各地域の建ぺい率を面積割合で計算

4容積率

容積率は、敷地面積に対する延べ面積の割合です。建物全体の床面積が、敷地に対してどの程度あるかを示します。建築面積を使う建ぺい率とは、計算に使う面積が異なります。

前面道路の幅員が12m未満の場合は、指定容積率だけでなく、道路幅員による容積率も計算します。住居系では原則として道路幅員に10分の4、その他の地域では原則として10分の6を掛け、指定容積率と比較して小さい方を採用します。

前面道路が複数あるときは、原則として幅員の広い道路を基準にします。敷地が容積率の異なる地域にまたがる場合は、建ぺい率と同じく面積割合で計算します。

容積率の確認手順
基本 延べ面積÷敷地面積 建築面積ではない 指定 指定容積率を確認 都市計画で定まる 道路 12m未満なら計算 道路幅員による制限 比較 小さい方を採用 指定だけで終わらない またがり 面積割合で計算 用途制限と区別 指定容積率と道路幅員を比較
【要点整理】
項目 確認ポイント
計算式 延べ面積 ÷ 敷地面積。建築面積ではない
前面道路12m未満 道路幅員による容積率も計算
住居系の乗数 原則として道路幅員 × 10分の4
その他の地域の乗数 原則として道路幅員 × 10分の6
採用する容積率 指定容積率と道路幅員による容積率のうち、小さい方
複数の前面道路 原則として幅員の広い道路を基準
延べ面積に算入しない部分 エレベーター昇降路、共同住宅等の共用廊下・階段、一定の地下室・自動車車庫等を確認
地域のまたがり 各地域の容積率を面積割合で計算
注意ポイント
【注意ポイント】指定容積率だけで終わらない

前面道路が12m未満のときは、道路幅員による制限を必ず計算します。最終的に使うのは、指定容積率と道路幅員による容積率の小さい方です。

5高さ制限

高さ制限は、日照、採光、通風や周辺への圧迫感を調整するためのルールです。絶対高さ制限、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限、日影規制の5つに分けて整理します。

絶対高さ制限は、第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域で、10mまたは12mです。道路斜線は原則として幅広い用途地域で確認し、北側斜線は低層住居専用地域・田園住居地域・中高層住居専用地域で確認します。日影規制は、地方公共団体の条例で指定された区域に適用されます。

高さ制限の種類
絶対高さ 10mまたは12m 低層・田園で確認 道路斜線 道路側の空間 採光・通風を確保 隣地斜線 隣地への圧迫感 低層系との関係注意 北側斜線 北側隣地の日照 方向を確認 日影規制 一定時間の日影を防ぐ 条例指定区域を確認 何を守る制限かで分ける
【要点整理】
種類 確認ポイント
絶対高さ制限 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域で10mまたは12m
道路斜線制限 道路側の採光・通風を確保。原則として用途地域を広く確認
隣地斜線制限 隣地への圧迫感などを調整。低層住居専用地域・田園住居地域では原則確認しない
北側斜線制限 北側隣地の日照を保護。低層・田園・中高層住居専用地域で確認
日影規制 条例で指定された区域で、一定時間以上の日影を生じさせないための制限
注意ポイント
【注意ポイント】日影規制は条例の指定を確認

商業地域・工業地域・工業専用地域だからといって、当然に日影規制の対象になるわけではありません。地方公共団体の条例で指定されているかを確認します。

6道路規制

道路規制は、敷地と道路との関係を定めるルールです。避難や通行だけでなく、消防・救急活動を確保するためにも重要です。

建築基準法上の道路は、原則として幅員4m以上です。幅員が4m未満でも、一定の要件を満たし特定行政庁が指定した道は、2項道路として扱われます。2項道路では、原則として道路の中心線から2m後退した線を道路境界線とみなします。

建築物の敷地は、原則として建築基準法上の道路に2m以上接する必要があります。片側が崖・川・線路敷などで後退できない2項道路では、反対側の道路境界線から4m後退した線を確認します。

道路規制の確認順序
道路 原則4m以上 建築基準法上の道路 2項道路 4m未満でも指定 中心線から2m後退 接道義務 道路に2m以上接する 原則建築可能の前提 例外 広い空地等 許可と同意を確認 道路内 原則建築不可 例外を確認 4m道路・2m接道・2項道路
【要点整理】
項目 確認ポイント
建築基準法上の道路 原則として幅員4m以上
2項道路 幅員4m未満でも、一定要件を満たし特定行政庁が指定した道
通常のセットバック 原則として道路中心線から2m後退した線を道路境界線とみなす
片側が崖・川等 反対側の道路境界線から4m後退した線を確認
接道義務 敷地は原則として道路に2m以上接する必要
条例による加重 特殊建築物・大規模建築物などでは、接道長さ等が加重される場合あり
例外許可 広い空地があるなど、特定行政庁が支障なしと認め、建築審査会の同意を得て許可する場合等
道路内建築 道路内には原則として建築不可。地下・高架、公衆便所、巡査派出所等の例外を確認
注意ポイント
【注意ポイント】セットバック部分は原則として建築できない

後退した線が道路境界線とみなされるため、セットバック部分が所有地であっても、原則として建築物を設けることはできません。

7防火地域・準防火地域

防火地域・準防火地域は、市街地で火災が広がることを防ぐための地域規制です。防火地域の方が、準防火地域よりも規制が厳しいと押さえます。

防火地域では、階数が3以上または延べ面積が100㎡を超える建築物は、原則として耐火建築物等にします。それ以外の建築物も、原則として耐火建築物等または準耐火建築物等にする必要があります。

準防火地域では、地階を除く階数が4以上または延べ面積が1,500㎡を超える建築物は、原則として耐火建築物等とします。延べ面積が500㎡を超え1,500㎡以下の建築物は、耐火建築物等または準耐火建築物等とします。

防火地域・準防火地域
防火地域 より厳しい規制 火災拡大を強く防止 準防火地域 防火より緩やか 階数・面積で確認 防火地域 3階以上・100㎡超 耐火建築物等 またがり 厳しい方が全体へ 原則を確認 例外 防火壁で区画等 例外も確認 またがりは厳しい方が原則
【要点整理】
区分 確認ポイント
防火地域 準防火地域より厳しい地域
防火地域の大規模建築物 階数3以上または延べ面積100㎡超は、原則として耐火建築物等
防火地域のその他の建築物 原則として耐火建築物等または準耐火建築物等
準防火地域の大規模建築物 地階を除く階数4以上または延べ面積1,500㎡超は、原則として耐火建築物等
準防火地域の中規模建築物 延べ面積500㎡超1,500㎡以下は、耐火建築物等または準耐火建築物等
地域のまたがり 建築物全体に、原則として厳しい方の規制が及ぶ
例外 防火壁で区画される場合などを確認
注意ポイント
【注意ポイント】またがりは「厳しい方」

用途制限の過半主義や、建ぺい率・容積率の面積割合とは異なります。防火地域と準防火地域にまたがる建築物は、原則として厳しい方の規制が建物全体に及びます

8外壁後退・壁面線・建築協定

外壁後退は、第一種・第二種低層住居専用地域や田園住居地域で、外壁またはこれに代わる柱の面を敷地境界線から後退させる制限です。後退距離は1mまたは1.5mです。

壁面線は、建築物の壁や柱の位置をそろえ、道路沿いの空間や街並みを整えるための制度です。

建築協定は、土地所有者等が、区域内の建築物の敷地・位置・構造・用途・形態・意匠などについて定める協定です。原則として区域内の土地所有者等の全員の合意が必要で、さらに特定行政庁の認可と公告を経て効力を持ちます。

外壁後退・壁面線・建築協定
外壁後退 1mまたは1.5m 低層・田園で確認 目的 ゆとりある住環境 外壁位置を後退 壁面線 壁や柱の位置をそろえる 街並みを整える 建築協定 敷地・位置・構造等を協定 土地所有者等で定める 合意 原則全員合意 協定区域で確認 外壁位置と街並みを整える制度
【要点整理】
制度 確認ポイント
外壁後退 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域で確認
後退距離 1mまたは1.5m
壁面線 建築物の壁や柱の位置をそろえ、街並みを整える線
建築協定 敷地、位置、構造、用途、形態、意匠などについて定める協定
合意 原則として区域内の土地所有者等全員の合意
認可・公告 特定行政庁の認可と公告が必要
一人協定 一人所有地でも、認可・公告後に一定期間内で効力発生を確認

9横断比較と重要数字

集団規定は、似た数字と異なるまたがり処理を横断して整理すると、問題文の入れ替えに強くなります。数字だけでなく、どの制度の数字かを必ずセットで覚えましょう。

集団規定の重要数字
4m 建築基準法上の道路 原則幅員 2m 接道義務・2項道路後退 数字の意味を区別 10分の1 建ぺい率緩和 条件ごとに加算 12m 容積率の前面道路 未満なら道路幅員計算 10m/12m 絶対高さ制限 低層・田園で確認 数字は制度名とセット
【要点整理】
数字 制度・意味 注意点
4m 建築基準法上の道路の原則幅員 2項道路や接道義務の数字と区別
2m 接道義務/2項道路の通常の後退距離 同じ2mでも意味が異なる
4m 片側が崖・川等の2項道路 反対側の道路境界線から4m後退
10分の1 建ぺい率の緩和 角地等、防火・準防火側の条件ごとに確認
10分の2 建ぺい率の緩和が重複 角地等と防火・準防火側の緩和が重なる場合
12m 容積率の前面道路幅員 12m未満なら道路幅員による容積率を計算
10分の4/10分の6 道路幅員に掛ける乗数 住居系は原則4/10、その他は原則6/10
10m/12m 絶対高さ制限 低層住居専用地域・田園住居地域
1m/1.5m 外壁後退距離 低層住居専用地域・田園住居地域で確認
またがる制度 処理方法
用途制限 敷地の過半が属する用途地域で判断
建ぺい率・容積率 各地域の規制を面積割合で計算
防火地域・準防火地域 原則として厳しい方の規制が建築物全体に及ぶ

10ひっかけ対策

集団規定では、数字そのものよりも、制度の入れ替えや、またがり処理の違いを問う問題が多く見られます。次の組合せを崩さずに整理します。

集団規定のひっかけ対策
またがり 用途は過半 面積割合ではない 面積規制 建ぺい・容積は加重平均 用途制限と区別 容積率 道路幅員も確認 小さい方を採用 道路 4m・2m・2項道路 数字の意味を分ける 防火 厳しい方が原則 過半ではない またがり処理と数字を確認
【要点整理】
区別するもの 正しい整理
用途制限のまたがり 過半が属する用途地域で判断
建ぺい率・容積率のまたがり 各地域の面積割合で計算
防火地域等のまたがり 原則として厳しい方の規制が全体に及ぶ
建ぺい率と容積率 建ぺい率は建築面積、容積率は延べ面積
容積率 前面道路が12m未満なら道路幅員による容積率も計算し、小さい方を採用
道路の数字 幅員4m、接道2m、2項道路の通常後退2m、片側崖等の4mを区別
防火・準防火 防火地域は3階以上または100㎡超、準防火地域は4階以上または1,500㎡超など
工業専用地域 住宅・学校・病院などは建築不可
建築協定 全員合意だけでなく、特定行政庁の認可・公告も必要

最後に押さえるポイント

  • 集団規定は、建築物と街全体との関係を調整する規定です。
  • 集団規定は、原則として都市計画区域・準都市計画区域内で適用されます。
  • 用途制限は用途地域ごとに建築できる建物を制限し、またがる場合は過半で判断します。
  • 工業専用地域では、住宅・学校・病院などを建てることはできません。
  • 建ぺい率は建築面積÷敷地面積、容積率は延べ面積÷敷地面積です。
  • 建ぺい率の緩和は10分の1加算、条件が重なると10分の2加算となる場合があります。
  • 前面道路が12m未満のときは、道路幅員による容積率も計算し、小さい方を採用します。
  • 住居系の道路幅員乗数は原則10分の4、その他は原則10分の6です。
  • 絶対高さ制限は、低層住居専用地域・田園住居地域で10mまたは12mです。
  • 建築基準法上の道路は原則幅員4m以上で、敷地は原則として道路に2m以上接する必要があります。
  • 2項道路では、原則として中心線から2m後退します。片側が崖・川等なら反対側から4mです。
  • 防火地域は準防火地域より厳しく、またがる建築物には原則として厳しい方の規制が及びます。
  • 外壁後退距離は1mまたは1.5mです。
  • 建築協定は、原則として全員合意に加え、特定行政庁の認可・公告が必要です。