固定資産税

毎年1月1日と住宅特例を数字で整理

1本章の学習ポイント

固定資産税は、土地・家屋・償却資産を所有していることに対して、毎年課税される市町村税です。不動産取得税は取得時に一度だけ課税されますが、固定資産税は所有している間、毎年課税されます。

学習の全体像

この章では、課税主体、課税対象、賦課期日、納税義務者を確認したうえで、固定資産課税台帳の登録価格、評価替え、標準税率、免税点へ進みます。その後、住宅用地・新築住宅の特例、台帳の閲覧・縦覧、審査申出、普通徴収を整理します。

試験対策

試験では、所在地の市町村が課税すること毎年1月1日現在の所有者が納税義務者になること標準税率1.4%土地30万円未満・家屋20万円未満・償却資産150万円未満の免税点が狙われます。住宅特例では、小規模住宅用地の6分の1と、新築住宅の税額2分の1を区別します。

判断の順番
【判断の順番】

①課税する自治体を確認 → ②1月1日の所有者を確認 → ③登録価格・税率・免税点を確認 → ④住宅用地または新築住宅の特例を判断します。

2固定資産税の基本

固定資産税を課税するのは、原則として固定資産が所在する市町村です。不動産取得税が都道府県税であるのに対し、固定資産税は市町村税です。東京都23区内では、特例として東京都が課税します。

課税の対象は、土地・家屋・償却資産です。土地や建物だけでなく、事業に使う機械や備品などの償却資産も含まれます。

納税義務者は、原則として賦課期日である毎年1月1日現在の所有者です。賃借人ではなく、固定資産課税台帳に所有者として登録されている者を中心に判断します。台帳上の所有者が死亡しているなど、登録された者に課税できない場合には、現に所有している者などが納税義務者となることがあります。

課税主体・対象・納税義務者
課税主体 市町村 所在地で判断 対象 土地・家屋・償却資産 事業用資産も含む 納税者 1月1日の所有者 賃借人ではない 例外 現所有者等 登録だけで処理できない場合 注意 条例で賦課期日は変更不可 1月1日を固定 市町村が1月1日の所有者に課税
【要点整理】
項目確認ポイント
税の種類地方税のうち、市町村税
課税主体固定資産が所在する市町村
東京都23区特例として東京都が課税
課税対象土地・家屋・償却資産
納税義務者原則として毎年1月1日現在の所有者
賦課期日毎年1月1日。条例で変更できない
例外的な納税義務者現に所有している者、一定の質権者・地上権者、行方不明時の使用者など
1月2日に取得した者その年度分について、市町村から課税される原則的な納税義務者ではない
注意ポイント
【注意ポイント】

固定資産税は、年度途中の取得者に市町村が日割りで課税する制度ではありません。売買契約で固定資産税を日割り精算する場合があっても、それは当事者間の精算です。

3課税標準・評価・評価替え

固定資産税の課税標準は、原則として固定資産課税台帳に登録された価格を基礎に算定します。実際の売買価格や取得費を、そのまま使うわけではありません。

固定資産の価格は、総務大臣が定める固定資産評価基準に基づいて評価されます。固定資産評価員の評価をもとに市町村長が価格を決定し、その価格を固定資産課税台帳へ登録します。

土地・家屋の価格は、原則として3年に1度評価替えが行われます。一方、償却資産は所有者の申告をもとに毎年評価します。土地・家屋の3年ごとの評価替えと、償却資産の毎年評価を混同しないようにします。

課税標準と評価の流れ
基準 固定資産評価基準 総務大臣が定める 評価 固定資産評価員の評価 価格決定の基礎 決定 市町村長が価格決定 台帳へ登録 標準 登録価格を基礎 売買価格ではない 評価替え 土地・家屋は原則3年ごと 毎年ではない 登録価格と3年ごとの評価替えを確認
【要点整理】
段階内容確認ポイント
評価基準総務大臣が固定資産評価基準を定める市町村が独自に基準を作るわけではない
評価固定資産評価員が評価する価格決定の基礎となる
価格決定市町村長が価格を決定する決定後に台帳へ登録
課税標準登録価格を基礎に算定する売買価格ではない
評価替え土地・家屋は原則3年に1度毎年すべてを評価し直すわけではない
償却資産所有者の申告をもとに毎年評価土地・家屋と区別
重要ポイント
【重要ポイント】

登録価格が課税標準の基礎です。「実際の売買価格をそのまま使う」「土地・家屋を毎年評価替えする」という記述は誤りです。

4税率・免税点・税額計算

固定資産税の標準税率は1.4%です。市町村は条例により異なる税率を定めることがありますが、宅建試験では、まず標準税率1.4%を押さえます。

基本の計算式は、税額=課税標準×税率です。住宅用地などの特例があるときは、特例によって軽減された課税標準に税率をかけます。

免税点は、土地が30万円未満、家屋が20万円未満、償却資産が150万円未満です。「以下」ではなく「未満」で判断するため、30万円・20万円・150万円ちょうどの場合は課税対象です。

税率・免税点の整理
税率 標準税率1.4% 市町村税 計算 課税標準×税率 軽減後に計算 土地 30万円未満 同一市町村で合算 家屋 20万円未満 未満で判定 償却資産 150万円未満 未満で判定 免税点は未満だけ非課税
【要点整理】
区分標準税率・計算免税点
土地課税標準×1.4%30万円未満
家屋課税標準×1.4%20万円未満
償却資産課税標準×1.4%150万円未満
判定方法同一市町村内で、同一人の資産区分ごとに合計基準額ちょうどは課税対象
免税点の数字
対象免税となる範囲基準額ちょうどの場合
土地30万円未満30万円は課税対象
家屋20万円未満20万円は課税対象
償却資産150万円未満150万円は課税対象
判断の順番
【判断の順番】

税額を求めるときは、登録価格 → 特例による課税標準の軽減 → 税率1.4%の順に確認します。免税点では「未満」の一語を見落とさないようにします。

5住宅用地と新築住宅の特例

固定資産税では、住宅用地と新築住宅に重要な軽減措置があります。両者は軽減する対象が異なり、住宅用地は課税標準を軽減し、新築住宅は家屋の税額を軽減します。

住宅用地の特例

住宅1戸あたり200㎡以下の部分は、小規模住宅用地として課税標準が6分の1になります。200㎡を超える部分は一般住宅用地として、住宅の床面積の10倍まで、課税標準が3分の1になります。

新築住宅の特例

一定の要件を満たす新築住宅では、床面積120㎡までの部分に対応する固定資産税額が、一定期間2分の1に軽減されます。令和8年度改正後の床面積要件は、原則として40㎡以上240㎡以下です。

軽減期間は、一般の新築住宅が3年度間、3階建て以上の中高層耐火建築物等が5年度間です。認定長期優良住宅では、一般住宅が5年度間、中高層耐火建築物等が7年度間となります。

住宅用地と新築住宅の特例
小規模用地 200㎡以下は6分の1 課税標準を軽減 一般用地 200㎡超は3分の1 床面積10倍まで 新築住宅 税額を2分の1 120㎡までの部分 期間 一般3年度・中高層5年度 長期優良は5・7年度 床面積 40㎡以上240㎡以下 令和8年度改正後 土地は課税標準、建物は税額を軽減
【要点整理】
特例の対象軽減するもの主な内容
小規模住宅用地土地の課税標準住宅1戸あたり200㎡以下の部分を6分の1
一般住宅用地土地の課税標準200㎡超の部分を3分の1。床面積の10倍まで
新築住宅家屋の税額床面積120㎡までの部分に対応する税額を2分の1
新築住宅特例の重要数字
項目一般の新築住宅認定長期優良住宅
床面積要件原則40㎡以上240㎡以下原則40㎡以上240㎡以下
税額軽減の対象床面積120㎡までの部分床面積120㎡までの部分
一般住宅の軽減期間3年度間5年度間
3階建て以上の中高層耐火建築物等5年度間7年度間
重要ポイント
【重要ポイント】

土地は課税標準、建物は税額を軽減します。6分の1・3分の1は住宅用地、2分の1は新築住宅の税額です。

6台帳・縦覧・審査申出

固定資産課税台帳には、固定資産の所有者、所在、価格などが登録されます。納税義務者、相続人、借地人、借家人などは、自己に関係する固定資産について台帳を閲覧できます。

土地・家屋価格等縦覧帳簿の縦覧は、自分の土地や家屋の価格が適正かどうかを、他の土地・家屋の価格と比較する制度です。借地人・借家人が自己に関係する台帳を確認できる「閲覧」と、納税者等が他の固定資産と比べる「縦覧」を区別します。

登録価格に不服がある場合は、固定資産評価審査委員会に審査を申し出ます。申出期間は、価格等を登録した旨の公示の日から、納税通知書の交付を受けた日後3か月までの間です。

閲覧・縦覧・審査申出の違い
台帳 所有者・所在・価格を登録 課税の基礎 閲覧 自己に関係する固定資産 借地人等も確認 縦覧 他の土地・家屋と比較 償却資産は別 不服 登録価格への不服 価格に限る 申出先 固定資産評価審査委員会 知事ではない 閲覧・縦覧・審査申出を分ける
【要点整理】
制度目的・内容対象者・申出先
台帳の閲覧自己に関係する固定資産の所有者・所在・価格などを確認納税義務者、相続人、借地人、借家人など
縦覧自分の土地・家屋の価格を、他の土地・家屋と比較原則として固定資産税の納税者等
審査申出固定資産課税台帳の登録価格に対する不服申立て固定資産評価審査委員会
審査申出の確認事項
項目確認ポイント
対象固定資産課税台帳に登録された価格への不服
申出先固定資産評価審査委員会
期間価格等登録の公示の日から、納税通知書の交付を受けた日後3か月まで
区別納税義務者の認定や非課税の判断に対する不服とは別
判断の順番
【判断の順番】

閲覧は自己に関係する資産の確認、縦覧は他の土地・家屋との比較、審査申出は登録価格への不服です。目的と対象者を分けて覚えます。

7徴収方法・納期・他税との比較

固定資産税は、納税者が自分で税額を計算して納める申告納付ではなく、普通徴収です。市町村が税額を決定し、納税通知書により納付します。

償却資産については、毎年1月1日現在の資産状況を1月31日までに市町村へ申告します。ただし、税額を自分で計算して納めるという意味ではありません。

納期は、4月・7月・12月・2月中において、市町村の条例で定められます。賦課期日である1月1日とは別です。固定資産税は、都市計画税とあわせて賦課徴収されることがあります。

徴収方法と納期
徴収 普通徴収 納税通知書で納付 納期 4月・7月・12月・2月 条例で定める 都市計画税 あわせて賦課徴収可 性質は別 取得税 取得時に一度だけ 都道府県税 固定税 所有に毎年課税 市町村税 所有・取得・徴収方法を比較
【要点整理】
項目確認ポイント
徴収方法普通徴収。市町村からの納税通知書により納付
償却資産の申告毎年1月1日現在の資産状況を1月31日までに申告
納期4月・7月・12月・2月中で、市町村の条例により定める
都市計画税固定資産税とあわせて賦課徴収できる
固定資産税と不動産取得税の比較
比較項目固定資産税不動産取得税
課税のきっかけ固定資産を所有していること不動産を取得したこと
課税時期所有中、毎年課税取得時に一度だけ課税
課税主体固定資産所在地の市町村不動産所在地の都道府県
基準となる時点毎年1月1日不動産を取得した時点
徴収方法普通徴収普通徴収

8ひっかけ対策

固定資産税では、課税主体、賦課期日、免税点の「未満」、登録価格、住宅特例、審査申出先の入れ替えが頻出です。問題文を読むときは、次の組合せを確認します。

頻出のひっかけ
課税主体 市町村 都道府県ではない 時点 1月1日の所有者 1月2日取得ではない 免税点 未満だけ非課税 同額は課税対象 不服申出 評価審査委員会 知事ではない 特例 土地は標準・建物は税額 軽減位置を確認 市町村・1月1日・未満に注意
【要点整理】
論点正しい整理よくある誤り
課税主体固定資産が所在する市町村都道府県が課税する
納税義務者原則として毎年1月1日現在の所有者1月2日に取得した者
課税標準固定資産課税台帳の登録価格を基礎実際の売買価格
評価替え土地・家屋は原則3年に1度毎年すべて評価し直す
免税点土地30万円・家屋20万円・償却資産150万円の各「未満」基準額以下なら免税
住宅特例住宅用地は課税標準、新築住宅は税額を軽減新築住宅の課税標準を2分の1
審査申出先固定資産評価審査委員会都道府県知事または市町村長
判断の順番
【判断の順番】

市町村・1月1日・未満・登録価格を先に確認します。住宅特例では「土地の課税標準」か「建物の税額」かを必ず見分けます。

9最後に押さえるポイント

  • ・固定資産税は、土地・家屋・償却資産の所有に対して毎年課税される地方税です。
  • ・課税主体は、固定資産が所在する市町村です。東京都23区内では東京都が課税します。
  • ・納税義務者は、原則として毎年1月1日現在の所有者です。
  • ・賦課期日は毎年1月1日で、条例により変更できません。
  • ・1月2日に取得した者は、その年度分について市町村から課税される原則的な納税義務者ではありません。
  • ・課税標準は、原則として固定資産課税台帳の登録価格を基礎にします。
  • ・土地・家屋の価格は原則として3年に1度評価替えが行われ、償却資産は毎年評価されます。
  • ・固定資産税の標準税率は1.4%です。
  • ・免税点は、土地30万円未満、家屋20万円未満、償却資産150万円未満です。
  • ・免税点は「未満」で判断し、基準額ちょうどの場合は課税対象です。
  • ・小規模住宅用地は、住宅1戸あたり200㎡以下の部分について課税標準が6分の1です。
  • ・一般住宅用地は、200㎡を超える部分について、住宅の床面積の10倍まで課税標準が3分の1です。
  • ・新築住宅の特例は、床面積120㎡までの部分に対応する税額を一定期間2分の1に軽減します。
  • ・一般の新築住宅の軽減期間は3年度間、中高層耐火建築物等は5年度間です。
  • ・認定長期優良住宅では、軽減期間が一般住宅5年度間・中高層耐火建築物等7年度間となります。
  • ・登録価格への不服は、固定資産評価審査委員会へ審査を申し出ます。
  • ・固定資産税は普通徴収で、納税通知書により納付します。