地価公示法

主体・基準日・効力を分けて整理する

1本章の学習ポイント

地価公示法は、標準的な土地の価格を公表し、土地取引や公共用地の取得、不動産鑑定評価などに共通の目安を示す制度です。宅建試験では、誰が行うのか、いつの価格なのか、どの場面でどのような効力を持つのかを分けて整理することが重要です。

学習の全体像

この章では、土地鑑定委員会、公示区域、標準地、鑑定評価を行う不動産鑑定士の人数、正常な価格、公示事項、公示価格の効力、都道府県地価調査との違いまでを順に確認します。

試験対策

まず、地価公示は「土地鑑定委員会・標準地・毎年1月1日」という組み合わせで覚えます。次に、一般の土地取引では公示価格は指標にとどまり、公共用地の取得や不動産鑑定評価では規準になることを区別しましょう。

判断の順番
【判断の順番】

①実施主体を確認する → ②標準地と公示区域を確認する → ③基準日・価格の単位を確認する → ④利用場面ごとに「指標」か「規準」かを判断する、という順で整理します。

2地価公示法の目的

土地は、同じ面積でも場所や利用条件によって価格が大きく異なります。そこで地価公示法は、標準的な土地である標準地を選び、その正常な価格を公表することで、土地価格の客観的な目安を示します。

公示価格は、一般の土地取引だけでなく、公共事業用地の取得、不動産鑑定評価、国土利用計画法に基づく土地価格の算定などにも利用されます。ただし、一般の売買価格を公示価格に固定する制度ではありません。

地価公示法の役割
公示 標準地の正常な価格 客観的な目安 一般取引 指標として利用 努力義務 公共取得 取得価格の規準 基準として利用 鑑定評価 正常価格の規準 均衡を考慮 目的 適正な地価形成 市場の透明性 目安を示して適正な地価形成に役立てる
【要点整理】
利用場面公示価格の位置づけ
一般の土地取引取引価格を考える際の指標
公共事業用地の取得取得価格を算定する際の規準
土地収用の補償補償金額を算定する際の規準
不動産鑑定評価正常な価格を求める際の規準
国土利用計画法土地価格を算定する際の規準
注意ポイント
【注意ポイント】

一般の土地取引では、公示価格どおりに売買する義務はありません。公示価格を指標として取引するよう努める、という位置づけです。

3土地鑑定委員会・公示区域・標準地

地価公示の中心となるのは、国土交通省に置かれる土地鑑定委員会です。土地鑑定委員会は、公示区域内から標準地を選び、不動産鑑定士による鑑定評価の結果を審査・調整したうえで、標準地の正常な価格を判定します。

公示区域は、都市計画区域だけに限られません。都市計画区域のほか、土地取引が相当程度見込まれる区域も含まれます。一方、国土利用計画法の規制区域は、公示区域から除かれます。

標準地は、公示区域内にある土地のうち、周辺の土地を代表し、利用状況や環境が標準的なものから選ばれます。選定では、代表性・中庸性・安定性・確定性が重視されます。

主体・区域・対象の整理
主体 土地鑑定委員会 国土交通省に置かれる 区域 公示区域 都市計画区域だけではない 除外 国土利用計画法の規制区域 公示区域から除く 標準地 公示区域内から選定 通常の一団の土地 判定 正常な価格を判定 鑑定結果を審査・調整 主語は土地鑑定委員会
【要点整理】
項目内容ひっかけ対策
土地鑑定委員会国土交通省に置かれ、標準地の選定と正常な価格の判定を行う都道府県知事ではない
公示区域都市計画区域と、土地取引が相当程度見込まれる区域都市計画区域だけではない
除外区域国土利用計画法の規制区域公示区域には含まれない
標準地公示区域内から選ばれる、標準的な一団の土地地点名は「標準地」

4地価公示の手続

地価公示は、土地鑑定委員会が標準地を選定し、その標準地について2人以上の不動産鑑定士に鑑定評価を求めるところから始まります。

不動産鑑定士は、同等の効用を持つ土地の造成費、近隣の類似した土地の取引価格、地代などから算定される価格を踏まえて評価します。その後、土地鑑定委員会が各鑑定結果を審査し、必要な調整を行って正常な価格を決定します。

複数の鑑定評価額を単純に平均して、公示価格を決めるわけではありません。評価を行う者と、最終的に価格を判定する者を分けて覚えましょう。

地価公示の流れ
選定 標準地を選ぶ 土地鑑定委員会 鑑定 2人以上の鑑定士 1人ではない 評価 造成費・取引価格・地代等 複数要素を勘案 審査 結果を審査・調整 単純平均ではない 公示 正常な価格を公示 官報・閲覧 鑑定士が評価、委員会が判定
【要点整理】
段階担当内容
1 標準地の選定土地鑑定委員会公示区域内から標準地を選ぶ
2 鑑定評価2人以上の不動産鑑定士造成費・取引価格・地代等を踏まえて評価する
3 審査・調整土地鑑定委員会鑑定評価の結果を審査し、必要な調整を行う
4 価格の判定・公示土地鑑定委員会標準地の正常な価格を判定し、公表する
重要ポイント
【重要ポイント】

不動産鑑定士は「鑑定評価」を行い、土地鑑定委員会は結果を「審査・調整して判定」します。主語を入れ替えないようにしましょう。

5正常な価格と公示価格

地価公示で示されるのは、標準地の正常な価格です。正常な価格とは、自由な取引が行われる場合に、通常成立すると認められる価格をいいます。

標準地に建物や地上権などが存在していても、正常な価格は、原則としてそれらがないものとして判定します。試験では、標準地を更地として評価するイメージで押さえます。

公示価格は、毎年1月1日を基準日として判定される、標準地の単位面積あたりの価格です。官報で公示された日現在の価格ではありません。

正常な価格・公示価格の基本
価格 正常な価格 自由取引で通常成立 基準日 毎年1月1日 公示日ではない 単位 単位面積あたり 総額だけではない 公示 所在・地番・価格等 官報で公示 閲覧 市町村で3年間閲覧 図書を送付 1月1日時点の単位面積あたり価格
【要点整理】
項目内容
正常な価格自由な取引で通常成立すると認められる価格
建物等がある場合原則として建物や地上権等がないものとして判定
基準日毎年1月1日
価格の単位標準地の単位面積あたりの価格
注意公示日現在の価格ではない

6公示事項と閲覧

土地鑑定委員会は、正常な価格だけでなく、標準地を特定し、その価格を理解するために必要な事項も公示します。

主な公示事項は、標準地の所在・地番、単位面積あたりの価格、価格判定の基準日、地積、形状、利用状況、周辺土地の利用状況、前面道路、供給処理施設、交通施設、法令上の制限などです。

公示事項を記載した図書は関係市町村長等へ送付され、送付を受けた日から3年間、一般の閲覧に供されます。

【要点整理】
分類具体的な内容
土地を特定する事項所在・地番、地積、形状
価格に関する事項単位面積あたりの価格、価格判定の基準日
利用状況に関する事項標準地の利用状況、周辺土地の利用状況
周辺条件に関する事項前面道路、供給処理施設、交通施設
法令上の条件用途地域などの法令上の制限
閲覧期間関係市町村等で3年間

7公示価格の効力

公示価格は、利用される場面によって扱いが異なります。一般の土地取引では、取引価格を考える際の指標です。公示価格で売買することを強制するものではなく、指標として取引するよう努めることが求められます。

これに対し、公共事業用地の取得価格や土地収用の補償金額を算定する場合は、公示価格を規準とします。また、不動産鑑定士が公示区域内の土地について正常な価格を求める場合や、国土利用計画法に基づいて土地価格を算定する場合も、公示価格が規準となります。

利用場面ごとの効力
一般取引 指標として努力 売買価格を強制しない 公共取得 取得価格の規準 近傍類地と補正 土地収用 補償金額の規準 公共取得とあわせる 鑑定評価 正常価格の規準 公示区域内で確認 注意 指標と規準を区別 用語の強さが違う 一般取引は指標、公共・鑑定は規準
【要点整理】
場面扱い覚え方
一般の土地取引指標として取引するよう努める努力義務・価格の強制なし
公共事業用地の取得取得価格の規準公共取得は規準
土地収用の補償補償金額の規準収用も規準
不動産鑑定評価正常な価格を求める際の規準鑑定は規準
国土利用計画法土地価格算定の規準規制区域等の価格算定
用語の区別
【用語の区別】

一般取引は「指標」、公共用地取得・土地収用・鑑定評価・国土利用計画法は「規準」です。試験では、この言葉の入れ替えが狙われます。

8都道府県地価調査との比較

地価公示と都道府県地価調査は、どちらも土地価格の目安を示す制度ですが、主体・基準日・地点名が異なります。3つをまとめて比較すると、混同を防ぎやすくなります。

地価公示は、土地鑑定委員会が標準地を選び、毎年1月1日時点の価格を公示します。都道府県地価調査は、都道府県知事が基準地を選び、毎年7月1日時点の価格を調査します。

地価公示と都道府県地価調査
地価公示 土地鑑定委員会 標準地 基準日 1月1日 毎年1回 鑑定士 2人以上 地価公示の数字 地価調査 都道府県知事 基準地 基準日 7月1日 地価公示と比較 主体・基準日・地点名を比較
【要点整理】
比較項目地価公示都道府県地価調査
主体土地鑑定委員会都道府県知事
地点名標準地基準地
基準日毎年1月1日毎年7月1日
鑑定士標準地ごとに2人以上地価公示との違いを主体・日付・地点名で整理

9重要数字とひっかけ対策

地価公示法で覚える数字は多くありません。数字だけを単独で覚えるのではなく、何を表す数字なのかと組み合わせて確認しましょう。

地価公示法の重要数字
回数 毎年1回 数年に1回ではない 基準日 1月1日 公示日ではない 鑑定士 2人以上 1人ではない 価格 単位面積あたり 総額だけではない 比較 地価調査は7月1日 主体も異なる 数字と意味をセットで確認
【要点整理】
数字・表現意味
毎年1回地価公示が行われる回数
1月1日公示価格を判定する基準日
2人以上標準地ごとに鑑定評価を行う不動産鑑定士の人数
単位面積あたり公示される価格の単位
3年間公示事項を記載した図書の閲覧期間
7月1日都道府県地価調査の基準日
よくあるひっかけ
区域 都市計画区域内だけではない 公示区域内 主体 土地鑑定委員会 知事ではない 鑑定士 2人以上 1人ではない 基準日 1月1日 公示日ではない 効力 一般取引は努力義務 強制ではない 主語・人数・基準日・効力に注意
よくあるひっかけ
誤りやすい表現正しい整理
地価公示の主体は都道府県知事主体は土地鑑定委員会
標準地は都市計画区域内だけから選ぶ公示区域内から選び、都市計画区域外も含み得る
鑑定士1人の評価で価格を決める標準地ごとに2人以上が鑑定評価する
鑑定評価額の単純平均が公示価格になる委員会が審査・調整して正常な価格を判定する
公示日現在の価格である基準日は毎年1月1日
一般の売買は公示価格に従わなければならない一般取引では指標として利用する努力義務

最後に押さえるポイント

  • ・地価公示法は、標準地の正常な価格を公表し、土地価格の客観的な目安を示す制度です。
  • ・地価公示の主体は、国土交通省に置かれる土地鑑定委員会です。
  • ・標準地は公示区域内から選ばれ、都市計画区域内に限られません。
  • ・国土利用計画法の規制区域は、公示区域から除かれます。
  • ・標準地ごとに2人以上の不動産鑑定士が鑑定評価を行います。
  • ・土地鑑定委員会は鑑定評価結果を審査・調整し、正常な価格を判定します。
  • ・公示価格は、毎年1月1日時点の標準地の単位面積あたりの正常な価格です。
  • ・正常な価格は、原則として建物や地上権等がないものとして判定します。
  • ・公示事項を記載した図書は、関係市町村等で3年間閲覧できます。
  • ・一般の土地取引では、公示価格は指標であり、売買価格を直接強制しません。
  • ・公共用地取得・土地収用・不動産鑑定評価・国土利用計画法では、公示価格を規準とします。
  • ・地価公示は「土地鑑定委員会・標準地・1月1日」、地価調査は「都道府県知事・基準地・7月1日」で比較します。
最終確認
【最終確認】

主体・地点名・基準日を先に固定し、最後に「一般取引は指標、公共・鑑定等は規準」と確認すれば、主要なひっかけを避けられます。