区域・土地利用・都市施設・手続を順に整理
1本章の学習ポイント
都市計画法は、住みよい街をつくるために、土地の使い方、道路や公園などの都市施設、市街地を整備する事業、都市計画を決める手続を定める法律です。学習するときは、細かな用語から入るのではなく、まずどの区域の話かを確認し、その区域で何を定められるのか、どのような許可・届出が必要なのかを順に整理します。
学習の全体像
最初に、都市計画区域と準都市計画区域という大きな枠を押さえます。次に、区域区分によって市街化区域と市街化調整区域を分け、用途地域などの地域地区、都市施設、市街地開発事業、地区計画へ進みます。最後に、都市計画の決定権者と決定手続を確認します。
試験対策
試験では、都市計画区域と準都市計画区域は重ならないこと、市街化区域の「おおむね10年以内」、用途地域の「13種類」、53条許可と65条許可、地区計画の「30日前届出」、都市計画案の「2週間の縦覧」がよく問われます。数字だけでなく、「区域・行為・手続・相手方」をセットで覚えます。
【判断の順番】
①どの区域か → ②何を定める区域か → ③どの行為をするのか → ④許可か届出か → ⑤誰に、いつまでに行うか、の順に確認します。
2都市計画区域と準都市計画区域
都市計画区域は、一体の都市として総合的に整備・開発・保全する必要がある区域です。市町村などの行政区画と必ず一致するわけではなく、都市として一体的に考える必要がある範囲が指定されます。
指定するのは、原則として都道府県です。ただし、区域が2以上の都府県にまたがる場合は、国土交通大臣が指定します。また、すべての都市計画区域について、都市計画区域マスタープランを定めます。
準都市計画区域は、都市計画区域の外で、放置すると無秩序な土地利用や乱開発が進むおそれのある区域に指定されます。原則として都道府県が指定し、定められる都市計画は地域地区などに限られます。
都市計画区域と準都市計画区域は、同じ場所に重ねて指定されません。問題文では、まず「都市計画区域内か、区域外か」を見分けることが大切です。
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 都市計画区域 | 一体の都市として総合的に整備・開発・保全する区域 |
| 指定権者 | 原則は都道府県。2以上の都府県にまたがる場合は国土交通大臣 |
| 区域マスタープラン | すべての都市計画区域で定める |
| 準都市計画区域 | 都市計画区域外で、乱開発を防ぐために指定する区域 |
| 準都市で定める都市計画 | 用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、高度地区、景観地区、風致地区などを中心に確認 |
| 両区域の関係 | 都市計画区域と準都市計画区域は重ならない |
3区域区分と市街化区域・市街化調整区域
区域区分とは、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に分ける都市計画です。「線引き」とも呼ばれます。ただし、すべての都市計画区域で必ず区域区分を定めるわけではありません。区域区分のない都市計画区域は、非線引き都市計画区域と呼ばれます。
市街化区域は、すでに市街地を形成している区域、または、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図る区域です。市街化を進める区域なので、原則として用途地域を定めます。
市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域です。原則として用途地域を定めず、市街地開発事業も定められません。
三大都市圏などの一定の都市計画区域では区域区分を定めますが、「都市計画区域であれば必ず線引きされる」と考えないようにします。
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 区域区分 | 都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に分ける都市計画 |
| 市街化区域 | すでに市街地、またはおおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図る区域 |
| 市街化調整区域 | 市街化を抑制すべき区域 |
| 用途地域との関係 | 市街化区域では原則として定める。市街化調整区域では原則として定めない |
| 非線引き都市計画区域 | 区域区分が定められていない都市計画区域 |
| 区域区分が必要な区域 | 三大都市圏などの一定の都市計画区域 |
4地域地区と用途地域
地域地区は、建築物の用途、構造、建ぺい率、容積率、高さなどを規制し、計画的な土地利用を実現するための都市計画です。その中心となるのが用途地域です。
用途地域は、土地利用の基本ルールを定める地域です。住居系、商業系、工業系に分かれ、建てられる建物の種類を調整します。用途地域は全部で13種類です。
市街化区域では、少なくとも用途地域を定めます。市街化調整区域では、原則として用途地域を定めません。具体的にどの建物を建てられるかは、建築基準法の用途制限とつながります。
また、市街化区域と非線引き都市計画区域では、都市施設のうち、少なくとも道路・公園・下水道を定めます。住居系の用途地域では、義務教育施設も確認します。
| 分類 | 種類 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 住居系 | 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域 | 8種類。住環境の保護を中心とする |
| 商業系 | 近隣商業地域、商業地域 | 2種類 |
| 工業系 | 準工業地域、工業地域、工業専用地域 | 3種類。工業専用地域では住宅・学校・病院などは建築できない |
| 合計 | 13種類 | 住居系8・商業系2・工業系3 |
| 区域・地域 | 確認ポイント |
|---|---|
| 市街化区域 | 少なくとも用途地域を定める |
| 市街化調整区域 | 原則として用途地域を定めない |
| 市街化区域・非線引き都市計画区域 | 少なくとも道路・公園・下水道を定める |
| 住居系の用途地域 | 義務教育施設も定める |
5補助的な地域地区
用途地域のほかにも、用途地域を補ったり、用途地域が定められていない区域で土地利用を調整したりする地域地区があります。似た名称は、言葉ではなくどこに定めるか、何を規制するかで区別します。
特別用途地区は、用途地域内で、その用途地域のルールを補完する地区です。これに対して、特定用途制限地域は、用途地域が定められていない区域で、特定の建築物の用途を制限する地域です。ただし、市街化調整区域には定めません。
高度地区は、建築物の高さの最高限度または最低限度を定めます。高度利用地区は、土地を合理的かつ健全に高度利用するための地区です。名称が似ていますが、「高さ」か「土地の高度利用」かで判断します。
| 地域地区 | 定める場所・目的 | 判断のキーワード |
|---|---|---|
| 特別用途地区 | 用途地域内で、用途地域を補完する | 用途地域内 |
| 特定用途制限地域 | 用途地域がない区域で、特定の建築物の用途を制限する。市街化調整区域は除く | 用途地域なし |
| 高度地区 | 建築物の高さの最高限度または最低限度を定める | 高さ |
| 高度利用地区 | 土地の合理的かつ健全な高度利用を図る | 土地の高度利用 |
| 防火地域・準防火地域 | 市街地の火災を防ぐ | 防火 |
| 景観地区・風致地区 | 良好な景観や自然的環境を保全する | 景観・自然環境 |
【注意】
問題文に「用途地域内」とあれば特別用途地区、「用途地域が定められていない」とあれば特定用途制限地域を疑います。名称の似方ではなく、定める場所で判断します。
6都市施設と53条許可
都市施設とは、道路、公園、下水道、学校など、都市生活に必要な施設です。市街化区域と非線引き都市計画区域では、少なくとも道路・公園・下水道を定めます。
都市計画施設の区域内または市街地開発事業の施行区域内で建築物を建築する場合は、原則として都道府県知事等の許可が必要です。これが、いわゆる53条許可です。将来の道路や公園などの整備を妨げないようにするための制限です。
通常の管理行為、軽易な行為、非常災害のために必要な応急措置などは、許可を受ける必要がありません。
一方、階数が2以下で地階がなく、主要構造部が木造・鉄骨造・コンクリートブロック造等で、容易に移転または除却できる建築物は、許可しなければならない基準として確認します。これは「許可不要」の要件ではありません。
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 都市施設 | 道路、公園、下水道、学校など、都市生活に必要な施設 |
| 許可が必要な場所 | 都市計画施設の区域内、市街地開発事業の施行区域内 |
| 許可権者 | 原則として都道府県知事等 |
| 許可不要の代表例 | 通常の管理行為、軽易な行為、非常災害のために必要な応急措置など |
| 許可しなければならない基準 | 階数2以下・地階なし、主要構造部が木造・鉄骨造・コンクリートブロック造等、容易に移転または除却できること |
| 注意 | 木造2階以下等は許可不要ではなく、許可基準として読む |
7市街地開発事業と都市計画事業の制限
市街地開発事業は、一定の区域を一体的に開発または整備する事業です。代表例には、土地区画整理事業、市街地再開発事業、新住宅市街地開発事業などがあります。
市街地開発事業は、市街化区域または区域区分が定められていない都市計画区域に定めます。市街化調整区域と準都市計画区域には定められません。
都市計画事業では、都市計画が決まった段階と、事業認可・承認が告示された後とで、土地利用の制限が異なります。事業認可等の告示後は、事業を実施する段階に入るため、事業地内での行為がより強く制限されます。
事業認可等の告示後の事業地内で、土地の形質変更、建築物の建築、工作物の建設、重量5トンを超える物件の設置またはたい積などを行う場合は、許可が必要です。これが65条の制限です。
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 市街地開発事業 | 土地区画整理事業、市街地再開発事業、新住宅市街地開発事業など |
| 定められる区域 | 市街化区域、非線引き都市計画区域 |
| 定められない区域 | 市街化調整区域、準都市計画区域 |
| 都市計画事業の制限 | 計画決定段階と、事業認可・承認の告示後とで制限が異なる |
| 65条で許可が必要な行為 | 土地の形質変更、建築物の建築、工作物の建設、5トンを超える物件の設置・たい積など |
| 53条との違い | 65条は事業認可等の告示後の事業地内で確認する |
8地区計画と30日前届出
地区計画は、比較的小さな地区ごとに、その地区の特性に応じたきめ細かな街づくりを行う計画です。地区施設、建築物等の整備、土地利用に関するルールなどを定めます。
地区整備計画等が定められている地区計画の区域内で、土地の区画形質の変更、建築物の建築、工作物の建設などを行う場合は、原則として、行為に着手する30日前までに市町村長へ届け出なければなりません。
届出内容が地区計画に適合しない場合、市町村長は設計変更などを勧告できます。都道府県知事の許可ではなく、市町村長への届出である点が重要です。
届出後に設計や施行方法を変更する場合も、変更部分に着手する30日前までに届出が必要です。通常の管理行為、軽易な行為、非常災害のための応急措置、開発許可を要する行為などは、届出不要です。
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 対象区域 | 地区整備計画等が定められている地区計画の区域 |
| 対象行為 | 土地の区画形質の変更、建築物の建築、工作物の建設など |
| 届出時期 | 行為に着手する30日前まで |
| 届出先 | 市町村長 |
| 不適合の場合 | 市町村長が設計変更等を勧告できる |
| 変更届出 | 変更部分に着手する30日前までに届け出る |
| 届出不要例 | 通常の管理行為、軽易な行為、非常災害の応急措置、開発許可を要する行為など |
【区別】
53条は都道府県知事等の「許可」、地区計画は市町村長への「30日前届出」です。
9都市計画の決定権者と決定手続
都市計画は、その内容によって、都道府県が決定するものと市町村が決定するものに分かれます。広域的・根幹的な都市計画は都道府県、地域に身近な都市計画は市町村が決定するイメージで整理します。
都市計画を決定するときは、都市計画案を公告し、公告の日から2週間、公衆の縦覧に供します。住民や利害関係人は、その縦覧期間中に意見書を提出できます。
そのほか、都市計画審議会の議を経る手続を確認します。市町村が都市計画を決定する場合は、都道府県知事との協議が必要です。町村については、一定の場合に都道府県知事の同意も確認します。
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 決定権者 | 都市計画の内容により、都道府県または市町村が決定する |
| 案の公告・縦覧 | 都市計画案を公告し、公告の日から2週間縦覧に供する |
| 意見書 | 住民や利害関係人は、縦覧期間中に提出できる |
| 都市計画審議会 | 都市計画を決定する前に、その議を経る |
| 市町村決定 | 都道府県知事との協議を確認する |
| 町村決定 | 一定の場合には都道府県知事の同意も確認する |
10横断比較
都市計画法は、区域ごとに「定められる都市計画」と「必要な手続」を並べて比べると整理しやすくなります。特に、準都市計画区域、市街化調整区域、地区計画については、似た選択肢が出やすいため注意します。
| 区域・制度 | 役割・特徴 | 試験での確認点 |
|---|---|---|
| 都市計画区域 | 一体の都市として総合的に整備・開発・保全する区域 | 区域区分、用途地域、都市施設、市街地開発事業、地区計画などを広く確認 |
| 準都市計画区域 | 都市計画区域外で乱開発を防ぐ区域 | 都市計画区域と重ならず、定められる都市計画は地域地区などに限定 |
| 市街化区域 | 市街化を進める区域 | 原則として用途地域を定める |
| 市街化調整区域 | 市街化を抑える区域 | 原則として用途地域・市街地開発事業を定めない |
| 非線引き都市計画区域 | 区域区分が定められていない都市計画区域 | 市街地開発事業を定められ、道路・公園・下水道を少なくとも定める |
| 53条許可 | 都市計画施設区域内等での建築を制限する | 都道府県知事等の許可。許可不要例と許可基準を区別 |
| 65条許可 | 事業認可等の告示後の事業地内で行為を制限する | 土地形質変更、建築、工作物、5トン超物件など |
| 地区計画 | 地区単位のきめ細かな街づくり | 行為着手30日前までに市町村長へ届出 |
11ひっかけ対策
都市計画法では、区域名、許可権者、届出先、期間の数字を入れ替えた問題が多く出ます。選択肢を読むときは、結論だけを見るのではなく、どの区域で、何をする場面なのかを先に確認します。
| ひっかけ | 正しい整理 |
|---|---|
| 準都市計画区域を都市計画区域内に指定する | 準都市計画区域は都市計画区域外に指定し、両区域は重ならない |
| すべての都市計画区域に区域区分を定める | 区域区分を定めない非線引き都市計画区域もある |
| 市街化調整区域に用途地域や市街地開発事業を定める | いずれも原則として定めない |
| 木造2階以下の建築物は53条許可が不要 | 許可不要ではなく、許可しなければならない基準として確認する |
| 地区計画は都道府県知事の許可を受ける | 行為着手30日前までに市町村長へ届け出る |
| 特定用途制限地域を用途地域内に定める | 用途地域が定められていない区域に定める。市街化調整区域は除く |
| 都市計画案の縦覧期間は30日 | 公告の日から2週間。30日前は地区計画の届出 |
| 数字・条文 | 何を表すか |
|---|---|
| おおむね10年以内 | 市街化区域で優先的かつ計画的に市街化を図る期間 |
| 13種類 | 用途地域の合計 |
| 53条 | 都市計画施設区域内等での建築許可 |
| 65条 | 事業認可等の告示後の事業地内での行為制限 |
| 30日前 | 地区計画区域内の対象行為の届出期限 |
| 2週間 | 都市計画案を公衆の縦覧に供する期間 |
| 5トン超 | 65条で確認する物件の設置・たい積 |
最後に押さえるポイント
- 都市計画法は、区域から具体的な規制へ進む順序で整理します。
- 都市計画区域は、一体の都市として総合的に整備・開発・保全する区域です。
- 準都市計画区域は都市計画区域外に指定され、両区域は重なりません。
- 区域区分は、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に分けますが、すべての都市計画区域で必ず定めるわけではありません。
- 市街化区域は市街化を進める区域で、原則として用途地域を定めます。
- 市街化調整区域は市街化を抑える区域で、原則として用途地域や市街地開発事業を定めません。
- 用途地域は、住居系8種類、商業系2種類、工業系3種類の合計13種類です。
- 特別用途地区は用途地域内、特定用途制限地域は用途地域がない区域で確認します。
- 高度地区は建築物の高さ、高度利用地区は土地の高度利用で区別します。
- 市街化区域と非線引き都市計画区域では、少なくとも道路・公園・下水道を定めます。
- 53条許可は、都市計画施設区域内などで建築物を建築する場合に確認します。
- 木造2階以下・地階なし等は、53条許可が不要になる要件ではなく、許可しなければならない基準です。
- 市街地開発事業は、市街化区域または非線引き都市計画区域に定めます。
- 65条の制限は、事業認可等の告示後の事業地内で確認します。
- 地区計画区域内の対象行為は、原則として着手30日前までに市町村長へ届け出ます。
- 都市計画案は公告し、公告の日から2週間、公衆の縦覧に供します。
【最重要】
都市計画法では、「区域」「許可・届出の種類」「相手方」「期限」を一組にして覚えます。