3種類と「7日・5日」「2週間・1週間」を整理
1本章の学習ポイント
媒介契約書は、宅建業者が依頼者から売買・交換の相手方探しを任されたときに、契約内容を明確にするための書面です。重要事項説明書(35条書面)や37条書面とは、作成する時期も交付する相手も異なります。
学習の全体像
この章では、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の違いを出発点に、媒介契約書の作成と交付、記載事項、有効期間、指定流通機構への登録、登録後の手続、業務処理状況の報告までを順に整理します。
試験対策
試験で最も狙われるのは、専任媒介の「7日以内・2週間に1回以上」と、専属専任媒介の「5日以内・1週間に1回以上」です。有効期間の3か月とあわせ、どの契約類型に対応する数字なのかをセットで覚えます。
【この章の見方】
最初に「重ねて依頼」と「自己発見取引」で3種類を見分け、その後に登録期限・報告頻度・有効期間を当てはめます。
2媒介契約書の基本と適用範囲
媒介契約とは、宅建業者が依頼者から、売買や交換の相手方を探すよう依頼される契約です。たとえば、土地の売主が不動産会社に買主探しを頼む場合がこれに当たります。
宅建業者が宅地・建物の売買または交換について媒介契約を結んだときは、遅滞なく媒介契約書を作成し、依頼者へ交付します。売買・交換の代理契約にも、このルールが準用されます。
一方、貸借の媒介には、原則として媒介契約書の作成・交付に関する規定は適用されません。「売買・交換が中心」と覚えておくと整理しやすくなります。
| 取引・契約 | 扱い |
|---|---|
| 売買の媒介 | 媒介契約書を作成し、依頼者へ交付します。 |
| 交換の媒介 | 売買と同じく、媒介契約書のルールが適用されます。 |
| 売買・交換の代理 | 媒介契約書の規定が準用されます。 |
| 貸借の媒介 | 原則として、媒介契約書の作成・交付ルールは適用されません。 |
| 35条・37条書面 | 媒介契約書とは、作成時期・交付相手・目的が異なる別の書面です。 |
【注意ポイント】
媒介契約書の規定は、売買・交換の媒介を中心に考えます。貸借の媒介まで一律に適用されるわけではありません。
3媒介契約の3種類
媒介契約は、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類です。依頼者の自由は一般媒介が最も広く、専属専任媒介が最も狭くなります。
見分ける基準は2つです。1つ目は、同じ物件について他の宅建業者にも依頼できるかという「重ねて依頼」。2つ目は、依頼者が自分で相手方を見つけて直接取引できるかという「自己発見取引」です。
| 比較項目 | 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 |
|---|---|---|---|
| 重ねて依頼 | できる | できない | できない |
| 自己発見取引 | できる | できる | できない |
| 有効期間 | 法令上の3か月制限なし | 3か月以内 | 3か月以内 |
| 指定流通機構への登録 | 義務なし | 7日以内 | 5日以内 |
| 定期報告 | 義務なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| 自由度 | 最も高い | 中間 | 最も低い |
4一般媒介契約
一般媒介契約は、3種類の中で依頼者の自由度が最も高い契約です。依頼者は複数の宅建業者へ重ねて依頼でき、自分で見つけた相手方と直接取引することもできます。
一般媒介契約には、ほかに依頼している宅建業者を明らかにする「明示型」と、明らかにしなくてもよい「非明示型」があります。
宅建業法上、一般媒介契約には、指定流通機構への登録義務も、定期的な業務処理状況の報告義務もありません。ただし、任意に登録することはあり得ます。
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 重ねて依頼 | 複数の宅建業者へ依頼できます。 |
| 自己発見取引 | 依頼者が自分で相手方を見つけ、直接取引できます。 |
| 明示型 | ほかに依頼している宅建業者を明らかにする方式です。 |
| 非明示型 | ほかの依頼先を明らかにしなくてもよい方式です。 |
| 指定流通機構への登録 | 宅建業法上の登録義務はありません。 |
| 定期報告 | 宅建業法上の定期報告義務はありません。 |
5専任媒介契約
専任媒介契約では、依頼者は同じ物件について他の宅建業者へ重ねて依頼できません。ただし、依頼者自身が相手方を見つける自己発見取引は可能です。
依頼者の自由が一般媒介より制限されるため、宅建業者には、指定流通機構への登録と、業務処理状況の定期報告が義務づけられます。
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 重ねて依頼 | できません。 |
| 自己発見取引 | できます。 |
| 有効期間 | 3か月以内です。3か月を超える定めは3か月となります。 |
| 指定流通機構への登録 | 契約締結の日から7日以内。休業日は日数に算入しません。 |
| 業務処理状況の報告 | 依頼者へ2週間に1回以上報告します。 |
| 更新 | 依頼者の申出が必要です。自動更新はできません。 |
【重要ポイント】
専任媒介は「重ねて依頼は不可、自己発見取引は可」です。専属専任媒介との違いは、まず自己発見取引の可否で判断します。
6専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は、3種類の中で依頼者への制限が最も強い契約です。他の宅建業者へ重ねて依頼できないだけでなく、依頼者自身が見つけた相手方と直接取引することもできません。
制限が強い分、宅建業者に課される義務も専任媒介より重くなります。指定流通機構への登録期限は5日以内、業務処理状況の報告は1週間に1回以上です。
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 重ねて依頼 | できません。 |
| 自己発見取引 | できません。 |
| 有効期間 | 3か月以内です。専任媒介と同じです。 |
| 指定流通機構への登録 | 契約締結の日から5日以内。休業日は日数に算入しません。 |
| 業務処理状況の報告 | 依頼者へ1週間に1回以上報告します。 |
| 規制の強さ | 3種類の中で最も強い契約です。 |
【注意ポイント】
専属専任媒介では、重ねて依頼も自己発見取引もできません。有効期間は専任媒介と同じ3か月以内です。
7自己発見取引と重ねて依頼
契約類型を見分けるときは、まず「重ねて依頼ができるか」を確認します。できるなら一般媒介契約です。
重ねて依頼ができない場合は、「自己発見取引ができるか」を見ます。できるなら専任媒介契約、できないなら専属専任媒介契約です。
| 判断順序 | 確認内容 | 結論 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 他の宅建業者へ重ねて依頼できる | 一般媒介契約 |
| 第2段階 | 重ねて依頼は不可だが、自己発見取引はできる | 専任媒介契約 |
| 第2段階 | 重ねて依頼も自己発見取引もできない | 専属専任媒介契約 |
8媒介契約書の作成・交付
宅建業者は、売買・交換の媒介契約を締結したとき、遅滞なく媒介契約書を作成し、依頼者へ交付します。
媒介契約書に記名するのは宅建業者です。35条書面や37条書面とは異なり、宅建士の記名を必要とする書面ではありません。
依頼者の承諾を得た場合は、紙の書面に代えて電磁的方法で提供できます。提供方法が紙でも電子でも、相手は媒介を依頼した依頼者です。
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 作成時期 | 媒介契約を締結したとき、遅滞なく作成します。 |
| 交付先 | 媒介を依頼した依頼者です。 |
| 記名する者 | 宅建業者です。宅建士の記名ではありません。 |
| 目的 | 依頼者と宅建業者の媒介契約の内容を明確にします。 |
| 電磁的方法 | 依頼者の承諾があれば、書面に代えて電子的に提供できます。 |
9媒介契約書の記載事項
媒介契約書には、依頼者と宅建業者の約束を後から確認できるよう、物件、価額、契約類型、期間、報酬などの重要事項を記載します。
宅建業者が売買価額や評価額について意見を述べる場合は、その根拠を明らかにしなければなりません。金額だけを示すのでは不十分です。
| 記載事項 | 内容 |
|---|---|
| 物件の表示 | 対象となる宅地・建物を特定する事項です。 |
| 売買価額・評価額 | 価額または評価額。宅建業者が意見を述べるときは根拠も示します。 |
| 媒介契約の種類 | 一般媒介・専任媒介・専属専任媒介のいずれかを明確にします。 |
| 有効期間・解除 | 契約期間や解除に関する事項を記載します。 |
| 指定流通機構 | 登録の有無や登録先などを記載します。 |
| 報酬 | 宅建業者が受け取る報酬に関する事項です。 |
| 違約金・費用償還 | 契約違反時の措置や費用の償還に関する事項です。 |
| 建物状況調査のあっせん | 既存建物では、調査を実施する者のあっせんの有無を確認します。標準媒介契約約款では「あっせん無」の理由も確認します。 |
| 標準媒介契約約款 | 標準媒介契約約款に基づく契約かどうかを記載します。 |
10有効期間と更新
専任媒介契約と専属専任媒介契約の有効期間は、3か月以内です。3か月を超える期間を定めても、その期間は3か月となります。
更新には依頼者の申出が必要で、自動更新とすることはできません。更新後の期間も3か月以内です。
一般媒介契約には、宅建業法上の3か月という期間制限はありません。3か月制限は専任系の2種類に限って確認します。
| 契約類型・事項 | ルール |
|---|---|
| 一般媒介契約 | 宅建業法上の3か月制限はありません。 |
| 専任媒介契約 | 有効期間は3か月以内です。 |
| 専属専任媒介契約 | 有効期間は3か月以内です。 |
| 3か月を超える定め | 期間は3か月となります。 |
| 更新 | 依頼者の申出が必要です。自動更新はできません。 |
| 更新後の期間 | 再び3か月以内です。 |
11指定流通機構への登録
指定流通機構への登録義務があるのは、専任媒介契約と専属専任媒介契約です。一般媒介契約には、宅建業法上の登録義務はありません。
専任媒介契約は契約締結の日から7日以内、専属専任媒介契約は契約締結の日から5日以内に登録します。いずれも宅建業者の休業日は日数に算入しません。
期限を数える起点は、媒介契約書を交付した日ではなく、媒介契約を締結した日です。
| 契約類型 | 登録義務・期限 |
|---|---|
| 一般媒介契約 | 登録義務はありません。 |
| 専任媒介契約 | 契約締結の日から7日以内。休業日は除きます。 |
| 専属専任媒介契約 | 契約締結の日から5日以内。休業日は除きます。 |
| 起算日 | 媒介契約を締結した日です。書面の交付日ではありません。 |
【注意ポイント】
「専任は7日、専属専任は5日」です。どちらも休業日を除いて数えます。
12登録証明書・成約通知
指定流通機構へ物件を登録すると、登録を証する書面が発行されます。宅建業者は、その書面を遅滞なく依頼者へ引き渡します。
登録された物件について売買または交換の契約が成立した場合、宅建業者は成約情報を遅滞なく指定流通機構へ通知します。
登録証明書の相手は依頼者、成約通知の相手は指定流通機構です。成約通知では、登録番号・取引価格・契約成立年月日を通知します。
| 手続 | 相手・内容 |
|---|---|
| 登録証明書の引渡し | 指定流通機構が発行した書面を、宅建業者が依頼者へ遅滞なく引き渡します。 |
| 成約通知 | 売買・交換が成立したとき、指定流通機構へ遅滞なく通知します。 |
| 成約通知の内容 | 登録番号、取引価格、契約成立年月日です。 |
13業務処理状況の報告
専任媒介契約と専属専任媒介契約では、宅建業者は媒介業務の進み具合を依頼者へ定期的に報告します。
専任媒介契約は2週間に1回以上、専属専任媒介契約は1週間に1回以上です。依頼者への制限が強い専属専任媒介のほうが、報告の頻度も高くなります。
一般媒介契約には、宅建業法上の定期報告義務はありません。ただし、媒介の対象について売買または交換の申込みがあった場合は、契約類型にかかわらず、定期報告とは別に遅滞なく依頼者へ報告します。
| 契約類型・場面 | 報告ルール |
|---|---|
| 一般媒介契約 | 宅建業法上の定期報告義務はありません。 |
| 専任媒介契約 | 2週間に1回以上、依頼者へ報告します。 |
| 専属専任媒介契約 | 1週間に1回以上、依頼者へ報告します。 |
| 売買・交換の申込みがあったとき | 定期報告とは別に、遅滞なく依頼者へ報告します。一般媒介でも必要です。 |
1435条書面・37条書面との違い
媒介契約書、35条書面、37条書面は、いずれも不動産取引で使われますが、役割は別です。試験では、交付する時期・相手・目的・記名する者を分けて確認します。
| 書面 | 時期 | 主な相手・目的 | 記名 |
|---|---|---|---|
| 媒介契約書 | 媒介契約の締結時 | 依頼者へ交付し、媒介契約の内容を明確にします。 | 宅建業者 |
| 35条書面 | 売買等の契約成立前 | 取引の相手方等へ重要事項を説明します。 | 宅建士 |
| 37条書面 | 売買等の契約成立後 | 契約当事者へ交付し、契約内容を明確にします。 | 宅建士 |
【整理のコツ】
媒介契約書は「媒介契約を結んだ依頼者との書面」。35条書面は契約前の説明、37条書面は契約後の内容確認です。
15ひっかけ対策
媒介契約書の問題では、契約類型と数字の組合せを入れ替える出題が多く見られます。数字だけを暗記せず、契約の自由度とあわせて整理します。
| 数字・ルール | 対応する内容 |
|---|---|
| 7日以内 | 専任媒介契約の指定流通機構への登録期限です。 |
| 5日以内 | 専属専任媒介契約の指定流通機構への登録期限です。 |
| 2週間に1回以上 | 専任媒介契約の業務処理状況の報告頻度です。 |
| 1週間に1回以上 | 専属専任媒介契約の業務処理状況の報告頻度です。 |
| 3か月以内 | 専任媒介契約・専属専任媒介契約の有効期間です。 |
| 自己発見取引 | 専任媒介では可能、専属専任媒介では不可能です。 |
| 申込みの報告 | 売買・交換の申込みがあれば、一般媒介でも遅滞なく依頼者へ報告します。 |
| 建物状況調査 | 既存建物では、調査実施者のあっせんの有無を記載します。 |
【最重要】
専任=7日・2週間・自己発見○。専属専任=5日・1週間・自己発見×。両方とも有効期間は3か月以内です。
16最後に押さえるポイント
- 売買・交換の媒介契約を締結したときは、遅滞なく媒介契約書を作成し、依頼者へ交付します。
- 売買・交換の代理契約にも媒介契約書の規定が準用されますが、貸借の媒介には原則として適用されません。
- 一般媒介は、重ねて依頼も自己発見取引もできます。
- 専任媒介は、重ねて依頼はできませんが、自己発見取引はできます。
- 専属専任媒介は、重ねて依頼も自己発見取引もできません。
- 専任媒介と専属専任媒介の有効期間は3か月以内で、更新には依頼者の申出が必要です。
- 指定流通機構への登録は、専任媒介が7日以内、専属専任媒介が5日以内です。休業日は算入しません。
- 業務処理状況の報告は、専任媒介が2週間に1回以上、専属専任媒介が1週間に1回以上です。
- 登録証明書は依頼者へ引き渡し、成約情報は指定流通機構へ通知します。
- 売買・交換の申込みがあったときは、一般媒介を含め、遅滞なく依頼者へ報告します。
- 媒介契約書には宅建業者が記名します。35条書面・37条書面のような宅建士の記名ではありません。
- 依頼者の承諾があれば、媒介契約書は電磁的方法で提供できます。
推敲対象:宅建・ゼロからだ!「媒介契約書」