不動産取得税

取得時だけ課税される税金を数字と特例で整理

1本章の学習ポイント

不動産取得税は、土地や家屋を取得したときに、一度だけ課税される都道府県税です。毎年課税される固定資産税とは異なり、「所有していること」ではなく、取得したという事実に着目します。

学習の全体像

この章では、課税する都道府県と納税義務者を確認したうえで、課税される取得・されない取得、課税標準、税率、免税点へ進みます。その後、新築住宅・既存住宅・宅地・住宅用土地に設けられた特例を整理し、最後に固定資産税・登録免許税との違いを比較します。

試験対策

試験では、所在地の都道府県が課税すること登記の有無ではなく現実の取得で判断すること相続は原則非課税・贈与は課税課税標準は登録価格土地と住宅は3%・非住宅家屋は4%という組合せが狙われます。免税点と住宅・土地の特例は、数字だけでなく「何から差し引くのか」までセットで覚えます。

判断の順番
【判断の順番】

①どの原因で取得したか → ②誰が・どこに納めるか → ③登録価格・税率・免税点を確認 → ④住宅本体・宅地・住宅用土地のどの特例かを判断します。

2不動産取得税の基本

不動産取得税を課税するのは、取得した不動産が所在する都道府県です。取得者の住所地ではありません。たとえば、秋田県に住む人が東京都の土地を取得した場合、課税するのは東京都です。

納税義務者は、土地や家屋を取得した者です。個人・法人の別は問いません。課税の対象は土地・家屋の取得であり、登記をしたかどうかではなく、法律上の原因に基づいて所有権を現実に取得したかで判断します。

新築や増改築では、固定資産課税台帳に登録価格がまだないため、都道府県が固定資産評価基準により価格を決定します。海外にある不動産は日本の都道府県に所在しないため、不動産取得税は課税されません。

課税主体と納税義務者
税目 地方税 都道府県税 課税主体 不動産の所在地 住所地ではない 納税者 取得者 個人・法人を問わない 対象 土地・家屋の取得 登記の有無ではない 納付 普通徴収 納税通知書で納める 所在地の都道府県が課税
【要点整理】
項目確認ポイント
税の種類地方税のうち、都道府県税
課税主体取得した不動産が所在する都道府県
納税義務者不動産を取得した者。個人・法人を問わない
課税客体土地・家屋の取得
判断基準登記の有無ではなく、所有権を現実に取得したか
新築・増改築都道府県が固定資産評価基準により価格を決定
海外不動産日本の都道府県に所在しないため課税されない
納付方法普通徴収。納税通知書により納付
注意ポイント
【注意ポイント】

取得者の住所地ではなく、不動産の所在地を見ます。県外の不動産を取得する問題では、住所地と所在地の入れ替えに注意します。

3課税される取得・されない取得

不動産取得税は、取得の原因によって扱いが分かれます。売買や交換のような有償取得だけでなく、贈与のような無償取得も課税対象です。新築、増築、改築によって家屋の価格が増加した場合も対象になります。

一方、相続、包括遺贈、法人の合併による取得などは、原則として課税されません。無償で取得したから非課税になるのではなく、相続は非課税・贈与は課税と原因ごとに区別します。

共有物を分割した場合は、原則として課税されません。ただし、分割前の持分割合を超える部分を取得したときは、その超過部分が新たな取得として課税対象になります。土地区画整理事業に伴う換地の取得も、代表的な非課税の例です。

取得原因による課税関係
課税 売買・交換 対価のある取得 課税 贈与 無償でも取得 課税 新築・増築等 家屋の取得 非課税 相続・包括遺贈 原則課税されない 一部課税 共有物分割 持分超過部分は課税 相続と贈与を分ける
【要点整理】
取得原因課税関係確認ポイント
売買・交換課税対価を伴う典型的な取得
贈与課税無償でも取得した事実がある
新築・増築・改築課税家屋の取得または価格増加
相続・包括遺贈原則非課税贈与と混同しない
法人の合併・一定の分割原則非課税包括的な承継として整理
共有物分割原則非課税持分割合を超える部分は課税
土地区画整理の換地非課税代表的な非課税例
重要ポイント
【重要ポイント】

「無償取得かどうか」だけで判断しません。相続は原則非課税、贈与は課税です。

4課税標準・税率・免税点

不動産取得税の課税標準は、実際の売買代金ではありません。原則として、固定資産課税台帳に登録された価格を用います。売買代金が高いか安いかではなく、登録価格を基準に計算します。

税率の本則は4%ですが、令和9年3月31日までの取得については、土地と住宅に3%の軽減税率が適用されます。住宅以外の家屋は4%です。したがって、商業ビルでは、建物部分は4%、敷地は土地なので3%となります。別荘は原則として、不動産取得税における「住宅」には当たりません。

令和8年4月1日以後の取得に適用される免税点は、土地が16万円未満、建築による家屋が66万円未満、建築以外による家屋が34万円未満です。いずれも「未満」で判定するため、ちょうど16万円・66万円・34万円の場合は免税点に該当しません。

課税標準・税率・免税点
課税標準 固定資産課税台帳価格 売買代金ではない 土地 税率3% 免税点16万円未満 住宅 税率3% 家屋でも住宅は3% 非住宅家屋 税率4% 商業ビル等 免税点 66万円・34万円 建築か建築以外か 登録価格・税率・免税点を区別
【要点整理】
区分課税標準・税率免税点
土地登録価格を基準・税率3%16万円未満
住宅登録価格を基準・税率3%建築による家屋は66万円未満/建築以外は34万円未満
住宅以外の家屋登録価格を基準・税率4%建築による家屋は66万円未満/建築以外は34万円未満
判定上の注意売買代金ではなく登録価格「以下」ではなく「未満」
免税点の数字
対象令和8年4月1日以後の免税点ちょうど同額の場合
土地16万円未満16万円は課税対象
建築による家屋66万円未満66万円は課税対象
建築以外による家屋34万円未満34万円は課税対象

同じ取得者が1年以内に隣接する土地を取得した場合や、一構となる家屋を取得した場合は、これらを合わせて免税点を判定します。取引を分ければ必ず免税になるわけではありません。

判断の順番
【判断の順番】

税額計算では、登録価格 → 特例による課税標準の調整 → 税率の順に確認します。免税点は、その前提となる価格が「未満」かどうかを見ます。

5住宅・宅地の特例

不動産取得税の特例は、どの段階の金額を減らすかによって区別します。住宅本体は課税標準から控除し、宅地は課税標準を2分の1にし、住宅用土地は算出した税額から控除します。

新築住宅の特例

一定の要件を満たす新築住宅を取得した場合は、課税標準から原則として1,200万円を控除します。認定長期優良住宅等では、控除額を1,300万円として整理します。令和8年4月1日以後に取得する住宅の床面積要件は、40㎡以上240㎡以下です。

既存住宅の特例

既存住宅では、一定額を課税標準から控除します。適用を受けるには、個人が自己の居住用として取得すること、床面積要件を満たすこと、新耐震基準等に適合することなどを確認します。

宅地・住宅用土地の特例

令和9年3月31日までに宅地を取得した場合は、課税標準を価格の2分の1とします。これは住宅用土地に限った制度ではなく、宅地の課税標準を軽減する制度です。

住宅用土地の軽減は、土地の税額から、45,000円または「土地1㎡当たりの価格×住宅の床面積の2倍×3%」のいずれか多い額を控除する制度です。計算に使う住宅の床面積は、200㎡が上限です。

土地を先に取得してから住宅を新築する場合は、原則として土地取得後2年以内が要件です。令和13年3月31日までに取得した土地については、3年以内として確認します。

住宅・宅地の特例を減る段階で整理
住宅本体 課税標準から控除 原則1,200万円 長期優良 1,300万円控除 要件を確認 床面積 40㎡以上240㎡以下 令和8年4月1日以後 宅地 課税標準を2分の1 令和9年3月31日まで 住宅用土地 税額から控除 住宅本体と区別 課税標準控除・2分の1・税額控除を区別
【要点整理】
特例の対象減らすもの主な内容
新築住宅課税標準から控除原則1,200万円。認定長期優良住宅等は1,300万円
既存住宅課税標準から控除自己居住用・床面積・耐震基準等を確認
宅地課税標準を軽減令和9年3月31日まで、価格の2分の1
住宅用土地算出税額から控除45,000円または一定計算額の多い方
住宅特例の重要数字
項目数字・期限
新築住宅の控除額原則1,200万円
認定長期優良住宅等1,300万円
床面積要件令和8年4月1日以後の取得は40㎡以上240㎡以下
住宅用土地の税額控除45,000円または一定計算額の多い方
計算上の床面積上限200㎡
土地取得後の新築原則2年以内。令和13年3月31日までの土地取得は3年以内
重要ポイント
【重要ポイント】

住宅本体=課税標準控除、宅地=課税標準2分の1、住宅用土地=税額控除です。どの段階の金額を減らすのかを先に見分けます。

6納付方法と他税との比較

不動産取得税は、都道府県から送付される納税通知書により納めます。この方法を普通徴収といいます。納税者が自分で税額を計算して納める申告納付方式ではありません。

取得後の申告は、原則として不動産を取得した日から10日以内に行います。ただし、令和5年4月1日以後の取得で登記申請をした場合は、原則として申告は不要です。

不動産取得税・固定資産税・登録免許税は、何に着目して課税されるかが異なります。不動産取得税は取得、固定資産税は所有、登録免許税は登記に着目します。

不動産に関する3つの税の比較
取得 不動産取得税 都道府県税・一度だけ 登記 登録免許税 国税・登記時 所有 固定資産税 市町村税・毎年 納付 普通徴収 納税通知書で納付 比較 取得・登記・所有 着目点を分ける 取得・登記・所有で比較
【要点整理】
税目着目する事実税の種類・課税時期
不動産取得税不動産の取得都道府県税。取得時に一度だけ課税
固定資産税不動産の所有市町村税。毎年1月1日の所有者に課税
登録免許税登記を受けること国税。登記を受けるときに課税
納付と申告
項目内容
納付方法普通徴収。都道府県からの納税通知書により納付
申告期限原則として取得日から10日以内
登記申請をした場合令和5年4月1日以後の取得では、原則として申告不要

7ひっかけ対策

不動産取得税では、似た用語や近い数字の入れ替えが多く出題されます。問題文を読むときは、次の組合せを確認します。

頻出のひっかけ
取得原因 相続は非課税 贈与は課税 課税主体 所在地の都道府県 住所地ではない 課税標準 登録価格 売買代金ではない 税率 土地3%・非住宅4% 商業ビル敷地は土地 特例 控除位置を確認 標準か税額か 相続・所在地・登録価格・特例を確認
【要点整理】
論点正しい整理よくある誤り
相続と贈与相続は原則非課税・贈与は課税無償取得はすべて非課税
課税主体不動産所在地の都道府県取得者の住所地の都道府県
課税標準原則として固定資産課税台帳の登録価格実際の売買代金
税率土地・住宅3%、非住宅家屋4%家屋はすべて4%
免税点土地16万円・建築家屋66万円・建築以外家屋34万円の各「未満」「以下」または旧制度の数字
住宅用土地土地について算出した税額から控除住宅本体の課税標準から控除
判断の順番
【判断の順番】

「誰が課税するか」「何を課税標準にするか」「どの段階で軽減するか」の3点を分けて読むと、入れ替え問題を見抜きやすくなります。

最後に押さえるポイント

  • ・不動産取得税は、土地や家屋を取得したときに一度だけ課税される都道府県税です。
  • ・課税主体は取得者の住所地ではなく、不動産が所在する都道府県です。
  • ・納税義務者は不動産を取得した者で、個人・法人を問いません。
  • ・登記の有無ではなく、所有権を現実に取得したかで判断します。
  • ・売買・交換・贈与・新築・増築などは課税対象です。
  • ・相続・包括遺贈・法人の合併等による取得は、原則として課税されません。
  • ・課税標準は、原則として固定資産課税台帳に登録された価格です。
  • ・令和9年3月31日までの取得では、土地3%、住宅3%、住宅以外の家屋4%です。
  • ・令和8年4月1日以後の免税点は、土地16万円未満、建築家屋66万円未満、建築以外家屋34万円未満です。
  • ・免税点は「未満」で判定し、ちょうど同額の場合は免税になりません。
  • ・新築住宅の特例は、課税標準から原則1,200万円を控除します。
  • ・宅地の特例は、課税標準を価格の2分の1にする制度です。
  • ・住宅用土地の軽減は、算出した土地の税額から控除する制度です。
  • ・不動産取得税は取得、固定資産税は所有、登録免許税は登記に着目します。
  • ・納付方法は普通徴収です。